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次世代サービス最前線ブログ 佐々木俊尚のIT進化論

次世代のWebがどう進化し、変貌していくのか。
その最前線をITジャーナリスト佐々木俊尚が俯瞰します。

 

日本企業は本当にグローバル人材を求めているのか

2012年8月13日
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 ニューヨークタイムズに、非常に興味深い記事が掲載されていた。海外の大学を出た日本人の若者たちが、日本企業からどういう扱いを受けているのかということを取り上げた内容である。

 一読されれば、その絶望的な状況に愕然となる方もたくさんいらっしゃるのではないかと思う。グローバル化しなければならないとあれほど叫ばれているのにもかかわらず、海外で大学教育を受けた日本の若者を雇うことに日本企業は積極的ではない、という恐ろしい事実が指摘されているからだ。

 具体的事例として、会議あの大学を出た12人の日本人の若者へのインタビューが行われている。その事例は非常に恐ろしい。たとえば日本企業の人事担当者から「大声で笑いすぎだ」とか「あなたはうちの会社にはオーバースペックだ」と言われたというような話。「あなたは新卒扱いの年齢を超えてしまっているため、新卒としては採用できない」と言われてしまったケース。じゃあ中途で入れるかというと、「経験者じゃないから中途採用の枠にも入れられない」というすげない回答。

 さらに、海外で学んだ若者は「日本の流儀」をちゃんと知らずに礼儀知らずだと思われている、というような話も紹介されている。

 Disco社が日本企業1000社にアンケート調査したところ、海外で教育を受けた若者を採用する予定があると答えたのは4分の1に満たなかったそうだ。数千人の従業員を擁するトップ企業でも、この比率は40%未満だったとか。

 日本のメディアではさかんに「グローバル人材を採用しなければ」「グローバルに仕事ができる人材を育てよう」といったことが書かれている。日経新聞も先日、「経済が安定して伸びたときに適していた日本型雇用システムを、グローバル化で環境変化の激しい時代に対応した仕組みへと、企業はつくり変える必要がある」といった社説を展開していた。「人材の養成方法も見直すときだ。日本企業は社内で経験を積ませて社員の知識の幅を広げ、専門性も高めてきた。だが世界の企業と戦うには外国の言語、文化や習慣などにも通じる必要がある」などと書いている。

 しかし実態はお寒い。そもそも日本ではこうしたグローバル人材の不足が若者の責任に背負わされている面もある。「海外留学する若者が減っている」といった言説がそうだ。しかし企業の側がそうした海外組を採用しないのなら、留学が減るのは当然だ。

 このマインドセットを改めない限り、日本企業がグローバル対応するなんてことはまったく不可能だと思う。

■Study Abroad Dims Employment Outlook for Japanese
http://nyti.ms/LhTiN6

 
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No.3 2012年8月20日
コメントありがとうございます。

組織が50年以上も経てば疲労して機能しなくなるのは当然なので、そこで組織をいったん潰して新陳代謝させるということが必要なんだと思います。残念ながら日本は戦後立ち上がった企業を長く延命させすぎているのではないかとも思っています。

おっしゃる通り、「守る」はもう必要ないですよね。

佐々木俊尚
No.1 2012年8月20日
佐々木さんの書かれている、絶望的な状況は私も感じています。
例えば、ネットワークのセキュリティエキスパートが日本の企業への就職活動の結果、どこにも採用されず結果的に海外で採用された。
グローバルへの対応、コンプライアンスの強化と声高に叫ばれているが、結局は”やった”という記録が残れば実態と乖離しても意に介さないところがあります。
成果よりもリスクヘッジでしょうか。
応募者のスキルがオーバースペックではなく、採用担当や受け入れ企業のスペックがプアなのでしょう。
日本はあまりにも長く守りに入りすぎました。
組織を守る、自分を守る、仲間を守る。そのために”おきて”を守る。
それができる”人”を採用する。
過剰なリスクヘッジが招いた負の文化だと思います。
”おきて”やぶりの優秀な社員がいると、誰かを整理しなくてはならない。
それは自分かも知れない。
そんな守りの姿勢を感じます。

イノベーションと言う言葉がはるかに遠い。
むしろ3Kと呼ばれる中小企業の方が海外からの人材や帰国子女を上手に活用する・・・そう感じます。

日本に求められるのは、
自らを限りなく高める情熱。
そのために、世界を見通す視点。
そして多様性を受け止めるしなやかさ。
イノベーションを実現する行動力。

の様な気がします。
少なくとも「守る」事はもう良いでしょう。
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