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ネットの“正義感”が増長する個人テロ- ゲンダイネット(2012年8月20日10時00分)

 <義憤にかられ「私が裁いてやる」>

 

  さいたま市の大学生の男(19)が、滋賀・大津市の沢村憲次教育長(65)を襲撃した事件。男はハンマーで殴っただけでなく、針金で首を絞めようとしていたという。明確な殺意を感じさせる恐ろしい事件である。

  男は、世間を騒がせたいじめ自殺問題での教育長の対応を「許せなかった」と供述しているが、不思議なのは、なぜ滋賀から遠く離れた埼玉の大学生だったのかということだ。これには最近のインターネット特有の、妙な“正義感”が背景にありそうだ。ITジャーナリストの井上トシユキ氏がこう言う。

 「大津のイジメ問題は、最初、子どものいる既婚女性を中心にネット上で高い関心が示されていました。当初は、『学校の対応はヒドイ』『教育長の会見での態度が悪い』という単純な話だったと思います。が、それにいわゆるネトウヨ(ネット右翼)が乗っかり、『だから日教組はダメだ』などと話が大げさになり、面白がるような形で攻撃が拡大し、先鋭化していきました」

  お笑い芸人、河本準一の母親が生活保護を受けていた問題でも、ネット上での批判や攻撃は今回と同様の形で拡大した。実名をリークした政治家が正義のヒーローとして扱われ、「河本けしからん」の集中砲火となったのだ。

 「ネット上で情報収集し、義憤にかられて、『私が裁いてやる』という状態になりやすいのです」(井上氏)

  ちょっといやな風潮である。

 (日刊ゲンダイ2012年8月17日掲載)

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