【社説】日本は歴史、国民感情、国内政治を独島問題に利用するな

 日本政府は韓国政府に対し、独島(日本名:竹島)問題を国際司法裁判所で解決することを改めて提案した。また、野田佳彦首相は韓国側に、李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島訪問と、天皇の謝罪を要求する発言に遺憾を表明する書簡を送付した。日本政府は韓日通貨スワップの縮小を検討していることもすでに表明しており、また日本メディアは19日、自衛隊と米軍が23日に会合を持ち、日本での島しょの共同防衛範囲について協議することを報じたが、その際に独島問題も議題に含まれる見通しのようだ。

 日本は憲法で天皇を「日本と日本国民統合の象徴」と規定している。日本メディアは天皇に対して今なお「天皇陛下」という、民主社会にはなじまない用語を使っており、また、日本の閣僚は天皇の臣下という意味合いで「大臣」と呼ばれている。日本の政治と日本文化に占める天皇の立場はそれだけ特殊ということだ。

 しかし日本が成熟した国家なら、過去100年の歴史で天皇が韓国人にとってどのような存在だったのかを忘れてはならない。明治、大正、昭和の3代の天皇の時代、日本は朝鮮を2度も戦場とし、軍に王宮を包囲させ、国を強奪する条約を締結し、数百万人の朝鮮人を戦場、炭坑、軍需工場へと送り出した。このとき、天皇は日本人にとって神のような存在だったのかもしれないが、韓国人にとっては抑圧と侵略と軍国主義の最高責任者にすぎない。

 日本は立場を変えて考えるべきだ。日本人がそれほどまで天皇を尊重し、神格化するとしよう。では日本が100年近く前、国際的なチンピラだった浪人たちを朝鮮王宮に乱入させ、朝鮮の皇后を殺害し、遺体をバラバラにした上で火を付けた行為はどのように説明するのか。韓日間の歴史問題をきちんと整理するということは、日本があがめる天皇のイメージが隣国では正反対となっている事実を正すことでもある。

 国家間の関係では互いに相手の文化を尊重する必要がある。しかしそれに劣らず重要なことは、過去に両国の間に何があったのか、特に加害者と被害者の実情がどうだったかを直視する歴史的な良識だ。

 今回、日本の首相は在日韓国大使館を通じて韓国の大統領に書簡を送ったが、日本はその内容を韓国の大統領が知る前に公表した。これも外交的には甚だしい非礼だ。日本政府は国内の政治的要求から外交を国内政治に利用しようとしているが、これでは両国関係は極度に悪化してしまう。日本が米国を引き入れ、独島問題で日本の後押しをさせようとする日本メディアの報道が事実なら、それも歴史の道理に合わないだけでなく、同盟国を困難な立場に追いやる行動にほかならない。

 韓日政府の対立は今や国民感情にまで広まり、今後も緊張がさらに持続しそうな気配も見受けられる。現在、東アジアでの安全保障の基軸は中国の急速な台頭で大きく変わっているが、そのような中で韓国と日本は、中国と共にこの地域での永久的な平和を築いていかなければならない未来のパートナーだ。両国の政治家は遠い将来を見詰め、自らを節制することを知らなければならない。

 日本は現政権発足後、歴史問題と独島問題で攻勢を強めてきたが、これは両国間の緊張を高める直接的な原因になっていることをしっかりと理解すべきだ。韓国政府の外交責任者も、自分たちの意志を貫徹するために効果的な行動や手段を取ってきたのか、改めて冷静に検討しなければならない。

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