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国際
【正論】元駐タイ大使・岡崎久彦 中国はもう反日デモはできない
私の判断では、今回の薄煕来事件以後、もう当局は反日デモは許さないと思う。反日といっても、それが何時、反政府デモに変貌するか分からないからである。それが数万人規模に膨れ上がった後では取り締まりも困難になる。それはまさに05年の上海、広州における大デモで中国治安当局が感じた危機感なのであろう。
東京都が尖閣を買うと言っても、北朝鮮のミサイル発射で自衛隊が沖縄に配備されても、中比紛争の最中に巡視船供与の方針を固めても、中国側から表向き反対はなかった。東京の世界ウイグル大会には、日中首脳会談の拒否や外務省レベルの抗議はあったりしたが、中国国民に訴えるような反応はなかった。考えてみれば、盲目の人権活動家、陳光誠氏の渡米も意外に抵抗少なく許している。
≪正しい対中政策進める好機≫
国内が不安定だと、外に危機を求める危険があると言うが、実態は、道徳的権威の低下した中国政府としては対外強硬策を国民に訴える危険を冒せないのである。
従来、尖閣の施設建設など、日本政府の当然の権利を行使するに際し、中国側の意向を慮(おもんばか)る傾向があったが、今後は、反日デモや、その結果の日本の企業の安全は、顧慮する必要はないように思う。正しい政策は正しい政策として淡々として進めてよいと思う。
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