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国際
【正論】元駐タイ大使・岡崎久彦 中国はもう反日デモはできない
それは、中国外の国際社会との関係、特に、日中関係にとってどういう意味があるのだろうか。
ひとつ、私が相当な自信を以て言えることは、今後、反日デモは政府が許さないであろうということである。
≪反政府行動への転化を懸念≫
それは今度の事件の前からそうなのかもしれない。2005年の小泉純一郎首相の靖国参拝の際、私は反日デモは起きないからご心配なく参拝されたいと言った。
その年の4月に、日本の安保理入り反対の小規模官製デモが、共産党の統制に反して、大規模反日デモに膨れ上がったことから生まれた、中国指導部の危機感を知っていたからである。
かつて、田中角栄首相の東南アジア歴訪に際して、ジャカルタ、バンコクで反日デモがあった。デモ参加学生たちのその後の述懐によれば、通常デモは禁止なのに、反日デモだけは当局が許可する由なので大いにデモをしただけの話だ、あれは、反日デモでなく反政府デモだということであった。
そういえば、05年4月のデモの際、参加者のヘルメットには「愛国無罪」という不思議な文字があった。言わんとするところは、デモは違法行為であると知っているが、これは反日デモだから許してもらえるという意味である。つまり反日にかこつけて、日頃の欲求不満を発散させようということである。だから、当局がその後のデモは厳禁したのである。
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