購読のお申込み

PR
PR
PR

佐賀新聞ニュース&スポーツ

この時間のニュース
スポーツニュース

おすすめ情報

さがぐらし

“さがぐらし”はじめませんか?
佐賀市が展開する定住サポート事業の、地域SNS連動型キャンペーンサイトです。

ieさが ieさが(いえさが)オープン!
みんなでワイワイ、ネットで家づくり。新しいスタイルのウェブ住宅展示場です。

ブライダルさが

結婚情報サイト「ブライダルさが」
マイルーム機能、ドレス検索など、お二人の素敵なブライダルを演出します。

Q_Jin_60_60.gif

県内求人情報 「Q-Jin」
1週間以内に紙上に掲載されたQ-Jinの情報を掲示しています。

佐賀就活ナビ

佐賀で働く人へ「さが就活ナビ」
産・学・官プロジェクト事業の県内就職情報サイトがオープン!

子育て応援の店

子育て応援の店事業
登録店で会員証を提示すると、子育てにやさしいサービスが受けられます。

h_saganews.gif

はてなブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録 Deliciousに登録 Twitterに投稿
印刷する 印刷する
トップ |行政・社会 |事件・事故 |経済・農業 |まちの話題
連載「酒の罪と病」(1) 葬儀にも出られず…

 コンビニの駐車場を出た瞬間だった。県内に住む吉田浩美さん(40)=仮名=は昨秋、軽乗用車を運転し、信号待ちの乗用車に追突した。警察官が吉田さんを調べると、基準値の0・15ミリリットルを大きく上回る呼気1リットル中0・75ミリリットルのアルコールが検出された。道交法違反(酒酔い運転)で現行犯逮捕された。

 「自分では覚えていないんですけど、警察が来るまでの間も、コンビニで焼酎を買って飲んでいたようで…」。事故前日、就職試験の面接に間に合わず、やけになって酒に手を出した。カップ酒やビールを飲んだが、量は覚えていない。酔ったままハンドルを握ってしまった。

      *

 酒酔い運転の場合、現在の法定刑は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」。ここ10年で飲酒運転の厳罰化は進み、2002年の道交法改正前の「2年以下の懲役又は10万円以下の罰金」と比べて罰金は10倍になっている。裁判所は、吉田さんに罰金60万円の略式命令を下した。

 「無職の自分には正直厳しい金額だった。厳罰は知っていましたが、軽く考えていました」。納付できない場合、1日5千円で計算した日数だけ、労役場に留置される。吉田さんは、佐賀少年刑務所で労役をするしかなかった。外出はもちろん、電話も許されない。刑務所では、仕出し弁当の袋などを作った。「むなしさと、自分自身が情けなくて、涙が出ました」

 労役を半分ほど終えた今春、母親から手紙が届いた。祖母が亡くなったことを伝える手紙だった。おばあちゃん子だった吉田さんは「死に目にも会えず、葬儀にも出られず、こんなところで何をしているんだ」。刑務官の目の前で、大声で泣いた。労役を終え、祖母の遺骨に手を合わせながら誓った。「二度と飲酒運転はしない」

      *

 罪は償ったが、厳罰化の現実は甘くなかった。刑事罰とは別に行政処分があり、吉田さんは運転免許取り消しとなり、3年間は再取得できない。持っていた軽乗用車は知人に売った。県内では車がないと、就職どころか移動もままならない。店員のアルバイトで、何とか食いつなぐ。

 1人暮らしの部屋の壁には、大好きだった祖母の遺影が掛けてある。「飲酒運転は自分だけのことだと思っていたけど、結局は家族や親戚にも迷惑を掛けた。酒を断って、地道に頑張るしかない」

 酒を断つ-。この言葉に大きな意味がある。吉田さんは2009年、アルコール依存症と診断されていた。

    ◇  ◇

 福岡市東区の海の中道大橋で2006年8月25日、同市職員の飲酒運転の車に追突され、幼児3人が死亡した事故から間もなく6年。佐賀県内でも後を絶たない飲酒運転と、その背景にあるアルコール依存症などの実態に迫り、根絶に向けた方策を探る。

2012年08月20日更新
裁判所が吉田さん(仮名)に下した罰金60万円の略式命令(プライバシー保護のため、一部画像処理を施しています)

裁判所が吉田さん(仮名)に下した罰金60万円の略式命令(プライバシー保護のため、一部画像処理を施しています)

ロード中 関連記事を取得中...

Copyright(c)Saga Shimbun Co.,Ltd