いじめ:都道府県・政令市教委、関与強化へ 「大津」受け改善の動き
毎日新聞 2012年08月20日 東京夕刊
大津市の市立中学2年の男子生徒が自殺した問題を受けて、いじめの対応を見直す動きが広がっていることが47都道府県・20政令市の教育委員会を対象にした毎日新聞の調査で分かった。大津市のケースでは、学校側がいじめの兆候を見逃し、自殺後の調査もずさんだったことが問題になった。教育委員会の関与を強化することで問題の早期解決や改善につなげようとしている。【まとめ・林田七恵】
「いじめの疑いがあるような事例も決して見逃さず、迅速な対応を行う必要がある」。東京都教委は7月、いじめと確認できた事案だけでなく、疑わしいケースについても件数を調べ、対応を報告するよう約2200の全公立小中高校に求めた。
従来は年3回、学校がいじめと認めた件数だけを報告することになっていたが、対象を広げた。担当者は「大津市の問題で、いじめを見逃さないために視野を広げる必要性を感じた。いじめが疑われるケースについては9月以降も追跡調査し、きちんと対応したい」と話す。
静岡県教委でも、従来は深刻ないじめだけを教育委員に報告していたが、安倍徹教育長が7月に「今後は全て報告する」と表明した。県立高校で1年近くいじめが続き、加害生徒を自宅謹慎させる事態になったが、県教委事務局が深刻でないと判断し、報告を見送っていたことが判明。透明性を求める声が高まっていた。