「NPOで働く」3つのメリット

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2012/08/20


日経に素晴らしい記事が上がっています。僕なりに「NPOで働く」というメリットをまとめてみました。

「仕事に手触り感」 NPOが若者に人気の理由  :日本経済新聞


「何のために働いている?」という問いに対して明確な答えを持てる

「何のために働いているの?」という問いかけに、自信をもって答えられる人はそれほど多くないでしょう。

僕もかつては、「スキルアップのため」「貯金するため」といった理由を「働く理由」「毎日会社に行く理由」として採用していましたが、それは所詮言い訳であることに、半ば気付きながら悶々と働いていました。

「社会的な課題の解決」をゴールとするNPOは、「何のために働くのか」という問いに、クリアに答えられる組織です。

例えば環境問題を扱うNPOなら「ゴミを減らすため」に、例えば孤児の問題を扱うNPOなら「孤児を救うため」に、うつ病の課題に取り組むNPOなら「うつ病を日本からなくすため」に、働くわけです。このように、大企業にありがちな「お題目のミッションステートメント」ではなく、彼らは非常にクリアなミッションを掲げています。そこには「ミッション」を共有する仲間も集っています。とても気持ちのよい空間です。

何のために、自分の貴重な人生を費やして、仕事をするのか。課題が噴出する現代において、そういう問いに答えられる場は、NPOという組織形態に集中してくるでしょう。


厳しい「ゴール達成」への視点を得られる

社会的課題の解決を目的とする以上、自分たちの活動の「成果」は、非常に厳しく眼前に突きつけられます。

例えば、僕は「テントセン」という団体で「NPOのソーシャルメディア活用支援」という取り組みを行っています。これまでに延べ100団体以上に無償のコンサルティングを提供してきましたが、そのことによって、それほど大きな変化が起きたとは実感できていません。

たかだか数人の取り組みでは、世界はそう容易に変わらないのです。自分の活動に対して、僕はある種の無力感に苛まれます。「NPOがソーシャルメディアを使えていない」というシンプルな課題の解決ですらこんな感じなので、例えば「アフリカの貧困をなくす」なんて壮大なミッションに取り組む場合は、常に無力感と戦うことになるでしょう。実際、僕の知っているNPOの経営者にも「無力感」と常に向き合っている方は少なくありません。

しかしながら、そうした無力感は、ポジティブに転化すれば、クリエイティビティやエネルギーの源にもなり得ます。これでダメならアレをやる、アレがだめならこうしてみる、そうした試行錯誤が発生します。課題の解決という、厳然とそびえる岩壁と向き合う感覚を得られるのも、NPOで働くメリットの一つでしょう。


「お金ではない」人の動きを肌で知ることができる

活動内容にもよりますが、多くのNPOは「ボランティア」の力を借り、「寄付」を受けて事業を行っています。

会社とNPOの大きな違いは、「無償の貢献」の濃度でしょう。NPOにおいては、活動の100%が無償で行われていることも少なくありません。誰も金銭的な報酬を貰っていない、ということです。そんな「会社」はそうそうないでしょう。

お金が絡まないと、人はいい意味でも悪い意味でも正直になります。一般的にいって、お金が絡まない場合、組織のマネジメントは非常に難しくなります。「上から目線で人を動かすようなマネジメントは全く通用しません。

しかし、適切な人材を「バスに乗せ」、バスを望ましい方向に進めることができれば、人は無償でも十分すぎるほどの力を発揮してくれます。場合によっては、お金を払うときよりも、素晴らしい仕事をしてくれたりもします。「寄付」のように、逆にお金を貰ってしまうことすらあります。

NPOで働くと、お金と労働に対する新鮮な視点を、肌で体得することができます。マーケティングにおいて「共感」が重要といわれる昨今、特に「マーケター」はNPOにコミットすべきだと僕は考えています。Facebookのいいね!ひとつとっても、NPOと会社では如実な違いがデータで取れたりします。


…と、メリットを書いてきましたが、NPOといってもピンからキリまであります。あくまでNPOは組織の箱の名称なので、当然ながら、全てのNPOが理想的な職場であるとは限らず、「貧困ビジネス」に手を染めているような団体も存在します。「会社」には、いい会社とブラック企業がある、ということと一緒ですね。

NPOを就職先として選ぶ上でのポイントは、3つのメリットを言い換えたものになるでしょう。つまり、

・組織内で「社会的課題の解決」といえるミッションを共有できている(「共有できているか否か」はとても大切です)
・「ぬるさ」のない、厳しい成果主義の一面を持っている
・ボランティアや個人寄付といった「賛同」が多く集まっている

なんてあたりが、チェックポイントとして挙げられます。ここら辺はまた別の記事にて書きたいと思います。


本記事に関心がある方は、「NPOで働く」をテーマにしたこちらは必読。

こちらも名著。マイクロソフト幹部が世界的なNPOを立ち上げるまで。読み物として非常に面白いです。