魔法少女リリカルなのは ~一般人な転生者~ (奇跡的な人間)
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陰鬱少女リリカルなのは
現在、俺は非常に危うい状態にある。おそらく、極限状態とでも言うべきだろう。
幽霊少女ゴーストアリサが成仏するのを涙を流しながら見送ったあと、俺は守ってあげなきゃ系の美少女とスタイル抜群なワイルド系美人に絡まれてしまった。おそらく目的は俺の右手に握られているジュエルシードだろう。
どうしてこうなったと頭の中で吼える。俺の予定では原作に関わる…否、関わってしまうのは少なくとも闇の書事件のときの予定だった。唯一の救いはデバイスであるアスナ……正式名称《エターナル》を持っていないことだ。もし持っていれば魔導師だと勘付かれていた可能性がある。
あれってフェイトとアルフだよな……あの格好で寒くないのかな、などと自らも認めてしまうほどくだらないことを考えていると不意に話しかける。
「その石を渡してください」
「…これ君達のモノなの?」
知っているが、あえて聞く。何も言わずに渡したほうが怪しまれるに決まっている。
「えっ、いえ、その………」
「……うーんと、違うの?なら渡さずに交番にでも預けるとするよ」
「ごちゃごちゃうるさいね!!いいからさっさと渡しな!!」
痺れをきらしたように吠えるアルフ。犬だし吠えるが正しい表現になるな。我ながら上手い。
「あっ、アルフ。落ち着いて……」
大人を宥める子供、か………。随分とシュールな光景だな。
「えっと、その、それは危ないモノなんです!!だから「危ないモノなら尚更だ。危険なモノを同年代の子に渡すほど俺は愚鈍な人間じゃない。」うぅ………」
ああぁヤバイ!!泣き出しそうだ!!
「分かった!!分かったからそんな泣き出しそうな顔しないで!!ほら、上げるから!!」
そういって近づき、右手に握っていたジュエルシードをバルディッシュを握っていない左手に持たせる。
「いいんですか……」
上目遣いで言われ、思わず見入ってしまう。
「あ、ああ。流石に俺も言いすぎたと思うし。」
そう告げて少し離れる。
「それとどういう意図かは分かんないけど、武器を持ち歩くのは良くないよ。日本には銃刀法ってのがあってね。それに違反…つまりルールに背いたことをすると警察に捕まるから気をつけておいてね。」
「あっ、は、はい。ありがとうございます。行こう、アルフ!」
「ああ、フェイト!」
そういって走ってここを後にする二人。流石に人前で空飛んだりするのは自重するか。
「まっ、俺も帰りますか」
もうヘトヘトだ。
★
学校に登校する途中の道。いつも以上の眠気に見舞われている俺の足取りは少々覚束なかった。
俺、何か悪いことしちゃったかな……、などと自らの反省点について考えていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「カズヤ、おはよう!!」
「んぅ?………ああ宏樹か。おはよぅ…」
少々長めの茶髪をボサボサにしたこの男は、俺の親友だったりする。
「ぅおい、どうしたよ?死んだ魚を発酵させたみたいな顔して?」
「……それ、どんな顔だよ…?」
「俺も知りてぇ」
そうですかい。
「それで真面目にどうしたんだよ?足取りも悪いし」
「あー………」
さあ、困った。
何というべきだろうか?昨日出会った幽霊少女と一緒に外出し、成仏するのを見届け、その後金髪露出狂美少女とワイルド系スタイル抜群美人に遭遇した。………こんなこと言ったら絶対、はぁ?コイツなに言ってんの?、って返されるだろう。
普通なら夜遅くまでゲームしていたでどうにかなるが、生憎宏樹は俺がゲームしないのを知っている。テレビを見ていたにしても、何を見ていたか聞かれるだろう。…ここは多少事実を混じえていったほうがいいな。
「いやさ、この前噂になっていた例の廃ビル、知ってる?」
「ああ、あの幽霊がでるとかなんとか。……まさか………」
「ああ、あそこに肝試しに行った。」
「ほう。それで幽霊は?」
「いねぇよ。おかげで無駄足食ったし足痛いし眠いし。」
「自業自得だろ」
「分かったてらぁ」
この後もくだらない雑談をしながら俺たちは学校へと向かった。
学校につき、自分の席に座る。そして高町の席周辺で高町、月村と話しているバニングスを見る。……やっぱそっくりだよなぁ。生き別れた姉妹みたいだよなぁ。でも苗字違うよなぁ、などと考えているとバニングスが急に高町の机を叩く。
「アンタ、いい加減にしなさいよ!」
あぁこんな事もあったなぁ、と適当に脳内で相槌を打ちながらクラスのみんな同様に高町の席周辺を見る。あれだよな。確か高町が魔法少女になった事でいろんな悩みが出来て、それを隠そうとする高町にバニングスが痺れをきらせて怒ったんだよな。
…いや、こっちの場合はソレ+αな気がするが。
「なぁ、なのは………」
おっ、バニングスと月村が居なくなって独りになった高町に+αこと神羅が話しかけた。……そういやコイツの下の名前ってなんだったっけ?
「ナイト君、一人にしておいてくれないかな……?」
「わっ、分かった………」
ああナイトっていうのか。っつかそれだと神羅ナイト?いや漢字で騎士って書いてナイトか。おっきくなったら後々困る、最近よくあるDQNネームか。………いや、それだとなのはも色々と危ういんじゃ……?せめて漢字の菜花にでもしろよ制作者。
昼休み、なんだが………。
「………………………。」
「「「………………………。」」」
高町が発動させている固有結界、『無言の制圧』とでも言うべきモノのせいで全く食が進まん。しかも俺は高町の席に近いので尚更だ。
「(あ~ぁクソッ、イライラするな~。これをどうにかすんのは神羅の役目なのにアイツがこの状況の原因の一つでもあるからな~。あ~鳥になりたい。鳥になれば何もかも自由じゃねぇかよ)」
我慢が限界に達した俺は自分の席を立ち、高町の席に近づいた。
「高町、少しいいか?」
「鳴海君?用が無いなら放っておいて欲しいんだけど…」
もしこれが俺以外の同学年の連中だったら名前を覚えていてくれたことにフィーバーしそうだな。まあそんなことはどうでもいい。神羅がトイレに行っている今、チャンスは今だけ……!
「たいした用も無しに話しかけるバカはそうそういないね。……まあここで言うのも野暮ってモンだしな……。悪いが着いて来て貰うぞ。」
そう言って俺は高町の机の上に置いてあった弁当箱(未開封)をもち、教室の外へと向かう。
「にゃ~!待って~~~!!」
だが断る。
★
平凡な小学三年生だった私(わたくし)、高町なのはに訪れた突然の出会い。手にしたのは魔法の力。
しかし、そんな中わたしは親友であるアリサちゃんとちょっとしたいざこざで不仲となってしまい………。
「なぁ、なのは………」
そんなわたしに話しかけてきたのは神羅騎士君。騎士と書いてナイトって読むの。今はそんなことどうでもいいけど………わたしは彼が苦手です。時々変なことを言い出すし、わけもなく頭を撫でて来ようとするし。特にアリサちゃんは露骨に嫌そうな顔をするのに全く気づかないほどです。
「ナイト君、一人にしておいてくれないかな……?」
「わっ、分かった………」
ふぅ~、行ってくれて助かったの。
そして昼休み。朝のこともあり、全く食欲の無いわたしに誰かが話しかけてきた。
「高町、少しいいか?」
ゆっくりと顔を上げる。そこにいたのは席が近くと言うことで時々お喋りをする鳴海一哉君。男の子にしては小さい顔で何処か女の子っぽい顔をした彼は、真っ直ぐにわたしの目を見ている。
「鳴海君?用が無いなら放っておいて欲しいんだけど…」
「たいした用も無しに話しかけるバカはそうそういないね。……まあここで言うのも野暮ってモンだしな……。悪いが着いて来て貰うぞ。」
そう言って彼はわたしの手を付けていないお弁当を持っていく。………って
「にゃ~!待って~~~!!」
なんだかちょっぴり理不尽なの。
★
現在、俺は高町と屋上に来ている。立つというのもなんなので近くにあったベンチに腰掛けることにした。
「まあ、単刀直入に言うとだな………バニングスと仲直りしてくれ。おかげでクラスのみんなが碌に弁当すら食えていない。」
「………無理だよ、そんなの」
「なんでだ?」
「へっ?」
「言葉が足りなかったか。だから、無理な理由だよ。仲直り出来ない理由」
それは……、と口にし、高町は口籠る。そりゃまあ、魔法のことなんざ言えやしねぇよな。
「……無理だよね、理由も何も言えないのに…」
「………はぁー、やっぱりか」
「なっ!?自分から聞いておいて溜息なんて酷いの!!」
「そらお前が言わないからな。どう言うご事情かは知らないけどさ、言わないとみんな心配するぞ?バニングスもな」
「アリサちゃん、も………?」
「ああ。逆に聞くが、もし仮にバニングスが悩みを持っていたとしよう。そしてそれについて聞いても「大丈夫」としか言わなかったらお前はどう思うよ?」
「ちゃんと聞かせて欲しいの!」
「だよな?それが今のバニングスの気持ちだ。………別に言いたくないなら全部言わなくてもいいさ。けどまあ、少しは頼ってやれ。友達は青春の特効薬だからな」
「うん、ありがとう鳴海君!!」
そう言って高町は弁当を持って階段を降りていった。はぁ、また面倒なことになったなぁ。
『〔そう思うならやらなきゃ良かったんじゃないの?〕』
「〔そう言われてもなぁ。男の仕事の八割は決断。後はオマケみたいなモンだからな。〕」
さて、まずは今回の反省点を考えよう。
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