魔法少女リリカルなのは ~一般人な転生者~ (奇跡的な人間)
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鳴海一哉、13歳でトラックに跳ねられ死亡

「………あっちぃ」

我ながらどうでもいいことを呟きつつ、帰路を歩く今日この頃。
季節は七月。幾つもの生物が栄え、死んでゆく、そんな季節だろうがそんなことは今の俺には関係ない。
温暖化のせいか、今年の夏は去年の時以上の熱気に見舞われる。もともと肌の弱い俺は太陽光をモロに浴び、ポケットの中の財布を見てタクシーに乗って帰りたいという衝動に駆られかける。
畜生、どうして歩いて帰らきゃなんねぇんだよ、と自らの通う中学の『徒歩だけによる登下校』というくだらない校則を心の中で呪う。

ふと近くに止まっている車のガラスから自分の顔を覗く。
男にしては小顔で、若干女顔なそれなりに整った―――自己評価によると中の上程度―――顔は、汗まみれになっている。
学生服のポケットからハンカチを取り出し、無造作に顔全体をふく。
よくこんな暑い中で部活できるよな…、と遠くて小さく見える俺の母校をちらりと見る。
俺はどの部活にも所属していない。外野球をやっているわけでもないし、生徒会に入って学校のためにああだこうだするような優等生でもない。
体格は悪くない。身長は162、3cmと中一として大きめで、さっき述べたように顔も悪くない。ときどき女子と間違われるのが玉に瑕だが。勉強面でも、成績が悪いわけじゃない。中間や期末でも成績上位者だった。人付き合いも悪くないし、愛想も…まああるだろう。
ただ、俺はどこか達観しているのかもしれない。

信号を渡る。次の信号で左に曲がれば、俺の家だ。あともう少しでこの肩に下げた重苦しいバッグをおろせる。そう思いながら、俺は足を前進させた。いや、『させてしまった』。

気がつくと、俺の正面にはトラックがいて、俺は思考をする前に、俺の視界が暗転した。


この日、七月十三日。
俺、鳴海一哉は13歳で、トラックに跳ねられるという形でその人生の幕を閉じた。

日差しがやけに強い日だった。

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