魔法少女リリカルなのは ~一般人な転生者~ (奇跡的な人間)
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転生先は魔砲少女の世界
「転生フラグキタ━━━(゜∀゜)━━━!!」
「(はぁ…やれやれ、またこの手のタイプかのぅ……)」
何もないように見える真っ白な空間。そこには小太りで黒い縁の眼鏡をかけたオタク然とした容姿の異常なほどに興奮した男性と、真っ白な髪に真っ白な髭を生やし、飄々とた雰囲気を出しながらも仙人のように隙の無い老人がいた。
「あ、あなた様は神様ですか?」
「まぁ、人間からはそう呼ばれているの」
「な、ならばお、俺にも転生者としてチート能力が………」
「それについては三つまで自分で決めて欲しい。」
「じ、自分が決めて良いのですか?」
「そうじゃ。因みに転生先はリリカルなのはの世界じゃ。」
その言葉に男はリリなのキタ━━━(゜∀゜)━━━!!、とやはり興奮し、老人は汚物を見るかのような目で男を見ているが、興奮状態になっているため気付く余地も無い。
老人は我々人間の言うところの神、という存在に位置する。何千何万何億という時間の中、ただの一度もミスを犯さないなんていう超然としたような存在ではない。神にも寿命はあるし、限度だってある。今回のように間違って人を殺すなんて年に何十はあるだろう。
そして、大抵の場合は男のような人間を誤って殺してしまう。最初は普通に転生させるだけだったが、あまりにもしつこい(オタクのオタクによる、オタクのためだけの)主張により何処かのアニメ世界に特典三つを付けて転生させるということがルールとなってしまった。
「じゃあ俺の魔力量をSSSに!!次に銀髪オッドアイのイケメンの容姿で最後はレアスキルに無限の剣製をくれ!!」
「分かった分かった。それと、コイツがおぬしのデバイスじゃ。」
もう神の威厳とかそんなものはクソ喰らえと言わんばかりに弓型のアクセサリーを男に投げ渡す。
「それでは転生させるぞ。」
「へへっ、待ってろよ俺の嫁達!!」
そうして男を転生させた。
「ふぅ~………」
老人は見えない椅子に座り、見えないまぐかっぷをとり、見えない珈琲を飲む。
何も見えない真っ白な空間というが実際には六畳程度の大きさの部屋だ。そこには本棚やテレビもある。用は人間の目には視認できないのである。老人は見えないカップを見えないテーブルの上に置き、さっきの男に関しての資料をしまおうとしたが…
ガッ、
ビシャー
「……………」
人間、鳴海一哉の資料に珈琲をこぼしてしまったのである。
★
「ということがあったのじゃ。」
「成程。とりあえず一言。ちゃんと周りのものを片付けてから珈琲飲めや。」
よく落ち着いていられると我ながら思う。相手は自分を殺した張本人なのだ。冷静にいられる奴は相当の馬鹿だ。(自分を除く)
「それで、貴方は俺をリリカルなのはの世界に転生させると?」
「うむ、そうじゃ」
リリカルなのはは知っている。一時期ネトゲにはまっていた俺がネットサーフィンをしていたらたまたまリリなのの二次創作がでてきて、それを読んだら案の定面白かったのではまったのだ。それから某動画無料視聴サイトで無印はとびとび、A'sは全話視聴した。さすがにストライカーズは全話視れなかったが。
「(それにしても特典、か……)」
神の話によると俺の前に一人俺が行く世界に転生したらしい。そいつが望んだのは魔力量SSS、銀髪オッドアイのイケメン、無限の剣製というまさしくテンプレだった。そいつはおそらく原作介入してヒロインにフラグを立て、ハーレムでウハウハしようとするだろう。俺としても介入はしたい。一応リリなの好きだしな。けどそいつの存在で七割がたやる気が駄々下がりだ。何故なら介入する→転生者①がいる→面倒なことになる、の流れが目に見える。しかし魔法を使いたいという願いは捨てきれず、結局望んでしまう俺は悪くないと思う。
「なら、一つ目はそれなりに高い魔力。A以上AAA未満で、鍛えればさらに高くなり、何もしなくてもそこそこ上がる程度に。二つ目は魔法の才能をー…高町なのはまででなくていいのでください。三つ目は―――そういえばデバイスってもらえるんですか?」
「うむ。分類はインテリジェントで、主に忠実なのをな。」
「うへ、それ嫌だな。」
「何故じゃ?」
「主に忠実ってことはバルティッシュみたいなタイプでしょ?俺はそういうのよりも感情表現が豊かなのがいいですからね。…なら三つ目はデバイスの設定について。性格がSAOのアスナそっくりで、アウトフレーム可能な高性能インテリジェントデバイス。勿論アウトフレーム時の外見はSAOのアスナでおねがいします。」
「うむ、分かった。デバイスはお主の転生後の家においておくとしよう。それでは転生させるぞ。」
「はい。」
こうして俺は転生した。
★
「……それにしても、」
おかしなヤツだ、と神はつぶやいた。今までいた中では特異中の特異だった。今までは最初の転生者のようなものが過半数以上だ。一哉のようなものはほんの一握りだろう。
「……今度の転生者は一癖ありそうじゃのう。」
誰もいない、誰にも視認できない場所で、神は一人つぶやく。
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