頼もしすぎる19歳ルーキーだ。ソフトバンク・武田翔太投手が19日のオリックス戦(京セラドーム)が先発し、5回1失点と力投。チームは10—8で勝ち、武田はデビューから無傷の4連勝を飾った。高卒新人の初登板から先発4連勝は1966年の巨人・堀内恒夫氏以来46年ぶり、パ・リーグでは史上初の快挙だ。
新人らしからぬ度胸とマウンドさばきだ。初回、1点を失い同点に追いつかれて、なお一死二塁のピンチ。
武田自身が「調子は良くなかった。コントロールが悪かった。スイッチが入るのが遅かった」と振り返ったように、立ち上がりは本来の投球ができなかった。並の新人なら、このまま動揺して崩れていってしまうところだが、宮崎のダルビッシュは違った。
マウンド上ではセールスポイントの笑顔を浮かべている。そして、主軸のT—岡田をカウント1ボール2ストライクから自慢の落差のあるカーブで空振り三振に討ち取る堂々の投球だ。
試合直前の33球の投球練習を見守った斉藤投手コーチは「調子自体がどうこうより自分の投球をして欲しいね」と送り出した。若い投手のもろさの一つは精神面から崩れること。「自分の投球」ができずに自滅するパターンが多いだけに斉藤コーチも平常心を最大の課題に挙げたのだが、武田には無用の心配だった。
「記録は意識していなですよ。初対戦のオリックス打線についてはスコアラーからデータはもらいましたけど、実際に対戦してみないとわからない部分もある。普通にやるだけです」と泰然自若としていたのだ。
ルーキーの堂々とした投球に打線も奮起しないわけにはいかない。同点で迎えた4回、二死満塁から女房役・高谷の2点適時打となる中前打などで3点を奪い勝ち越し。一時は1点差まで詰め寄られたたものの9回に長谷川の2号2ランなど打者一巡で一挙5点を奪い、ルーキーの記録的4連勝をアシストした。
残り38試合といよいよV争いも佳境に突入する。ピンチにもまったく動じない肝っ玉ルーキーが、鷹軍のパ・リーグ3連覇と2年連続日本一の切り札となる。