首位・巨人に一抹の不安が持ち上がった。中日との首位攻防戦を1勝2敗で乗り切った原巨人。15日の負け方に複数の関係者がクライマックスシリーズ(CS)以降の短期決戦における弱点が露呈されたことを危惧。一抹の不安が持ち上がったのだ。
15日の中日戦。打線は相手エースの吉見から阿部のソロアーチで1点を奪うのが精一杯。5回以降は三塁すら踏めず、散発6安打に抑えられて完投を許した。とはいえ、この日の自軍先発はプロ2年目で一軍未勝利の小山。負けは“想定内”と言っていい。原監督が「(吉見とは)かなり対戦しているわけですから。もうひと工夫というところでしょうね」と淡々と振り返っていたのも、うなずける。
しかし、気になる一言を口にした首脳陣が1人いる。橋上戦略コーチだ。試合前の全体ミーティングでは「(吉見の)低めのボールは捨てていけ」との指示をナインに通達。成す術なく敗れてしまったことで試合後の同コーチは不安げな表情を浮かべると「3回までは(低めのボールを)捨てていたが(中日に)4、5点が入ったあたりで野手の集中力に緩みが出た。相手のペースになってきて(低めを見極める)我慢ができなくなっていた」。
劣勢に立たされた途端、打線は普段堅守しているはずのチーム打撃に徹しきれなくなってしまった――。こうした橋上コーチの指摘にチーム内からは早くも心配の声が噴出。不穏な空気が漂い始めた。
「この日の吉見のように相手のエース級ばかりと対戦するCS以降の短期決戦を見据えたとき、こんなチーム状況で果たしていいのか…。エースに歯が立たずに点差がついて、すぐに気持ちが切れてしまうようでは話にならない。一敗が命取りになる短期決戦では、たとえどんな展開になっても最後まで諦めずにチーム打撃を徹底できるようにしないと、間違いなく本番でつまずくことになる」(チーム関係者)
それだけではない。「慣れないチーム打撃を徹底して、ここまできたわけだからね。そういうストレスみたいなものが、後半戦に来て一気に出てしまっているのではないか。このままCSまで引きずって行ってしまうのでは…」とも言われ始めているから始末が悪い。実を言えば、こうした兆候は今回の中日戦前から少しずつ現れていた。
「橋上さんが最近気にしていたのは『守備の時間が長くなった直後の打席などで、明らかに気の抜けた打撃をする選手がいる』という点。その時は直接『気が抜けてるんじゃないのか』と注意するそうだけど…」(別の関係者)
3年ぶりのリーグ優勝へひた走る巨人だが、最大の目標は日本一奪回。それだけに“短期決戦の死角”があらわになったのは、やはり気がかりだ。