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【芸能・社会】「ラ・マンチャの男」1200回 64年初演から43年2012年8月20日 紙面から
歌舞伎俳優の松本幸四郎がライフワークとする主演ミュージカル「ラ・マンチャの男」が19日、東京・帝国劇場で、1969年4月の初演から通算1200回上演を達成した。この日は幸四郎の70歳の誕生日で、観客、共演者、家族らが、幸四郎の古希と同一作品での主演日本最多記録の更新を祝福。幸四郎は感激の面持ちで「皆さまにいただいた心のこもった金メダルを大事にして生きていきます」と、演じているドン・キホーテよろしく“見果てぬ夢”を追っていくことを宣言した。 「最高の日です。ああ、ラマンチャを今日まで続けてきて良かった…」。記念のカーテンコールのあいさつで、朗々とした幸四郎の声がところどころ震えた。「夢のミュージカルを演じながら、夢の中にいるようです…」。明らかに涙声になったところもあった。満員の客席、ステージで取り囲むキャストの偉業をたたえる喝采が続いた。 初演の1969年当時は市川染五郎だった。まだ日本にブロードウェーミュージカルは根付いていなかった。観劇して演じるように勧めてくれたのは父の先代幸四郎さん(初代白鸚)。また上演を決め、翌年のニューヨーク公演や、演じ続けることを後押しした東宝の重役菊田一夫さんの2人への感謝の言葉を続けた。 サプライズもあった。「ラ・マンチャの男」の脚本を書いた故デール・ワッサーマンさんの妻マーサさん(74)が夫が同作で受賞した演劇界で権威あるトニー賞最優秀作品賞のトロフィーをプレゼントしたのだ。「夫は生前『これを最もふさわしい人に渡してほしい』と言っていましたから」との説明に信じられないという表情をした。 家族の絆も感じさせた。相手役のアルドンサは当たり役といえる次女の松たか子(35)、アントニア役には長女の松本紀保(40)が共演している。カーテンコールでは長男の歌舞伎俳優市川染五郎(39)が孫の松本金太郎(7)を連れて花束を渡した。金太郎は「ジイジ、おめでとう」とメッセージ。さらに染五郎は客席にいる母を立たせ、ファミリーをお披露目。誕生ケーキが出され、ハッピーバースデーが歌われると紀保とたか子が、祝福のキスを両ほほに送った。 客席には小泉純一郎元首相(70)、司会者のみのもんた(67)、脚本家の山田太一さん(78)、かつてアルドンサを演じた鳳蘭(66)らゆかりの有名人の姿もあった。 記念のカーテンコールが終わっても観客の拍手が鳴りやまない。幸四郎はドン・キホーテが手にしていたつえを手にたった一人でステージに戻ると、かつてブロードウェーのマーチンベック劇場での公演のように劇中歌「見果てぬ夢」を英語で歌った。古希とは思えぬ声量で万感を込めて歌い終え、虚空を見つめる幸四郎。「ブラボー」と屋号の「高麗屋」の掛け声が、ミュージカルで“金メダル”を獲得した歌舞伎俳優に飛んだ。 (竹島 勇) ◆「ラ・マンチャの男」スペインの作家セルバンテスが投獄され、獄中で自作のドン・キホーテを演じて囚人たちに影響を与えていく物語。アルドンサはその劇中劇でドン・キホーテが思いを寄せる女性。 ◆同一作品での主演は日本最多幸四郎は「ラ・マンチャの男」による(1)同一作品の主演最多記録と、(2)ミュージカル舞台主演の最多記録を、自身で更新し続けている。(1)は19日に1200回となり、25日の千秋楽で1207回となる。(2)には「王様と私」などが合算され、25日に2121回となる。 <初演から73年まで、キホーテが姫と慕う宿屋の下働きの女アルドンサを演じた草笛光子(78)の話> ブロードウェーで見て感動しまして、自ら売り込んで出演させていただきました。とても難しく、毎日死ぬ思いでした。幸四郎さんをはじめ、小鹿敦(後に番)さん、小沢栄太郎さん、賀原夏子さんといった亡くなった方たちも含めて初演でご一緒した皆さんが戦友。幸四郎さんは、皆さんを引っ張っていらっしゃったと思います。回数の問題じゃなく、続けてくることのすごさを言いたいですね。本日は、おめでとうございます。 PR情報
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