東アジア地域の環境保全などに貢献した人々や団体に贈られる第17回日韓(韓日)国際環境賞(主催・毎日新聞社、朝鮮日報社、後援・外務省、環境省、駐日韓国大使館、協賛・ロッテ、城西国際大学)の表彰式が10月27日、東京都内で行われた。
今年の受賞者は、日本側が「岩手県田野畑村民と思惟(しい)の森」。田野畑村民は、早稲田大の学生らでつくる「思惟の森の会」と、森づくりに取り組んできた。
韓国側は「鳥と生命の場(ナイル・ムアーズ代表)」。英国出身のムアーズ氏は韓国に住み、有志と環境団体「鳥と生命の場」を設立して黄海周辺に生息する鳥類や生息地保全に努めてきた。式では朝比奈豊・毎日新聞社社長と方相勲(バンサンフン)・朝鮮日報社社長から各受賞者に賞金1万ドルと記念品が贈呈された。
韓国側受賞者:鳥と生命の場(Birds Korea)とナイル・ムアーズ(Nial Moores)代表
英国出身のナイル・ムアーズ氏は1990年、鳥類観察のために韓国を訪れたが、渡り鳥の楽園である洛東江河口の自然環境のとりことなり、1998年から韓国で生活し始めた。韓国の自然と渡り鳥に対する関心が高じて、2004年10月にはとうとう韓国と広域黄海生態圏域に生息する鳥類と生息地保全を目標にした「鳥と生命の場」を創立するに至った。2006年、黄海パートナーシップ(Yellow Sea Partnership)の初の国内NGO血縁機関として、豪州、ニュージーランドのシギ研究団とセマングム(新萬金)のシギ・チドリのモニタリングプログラムを共同管理しており、黄海圏域の島嶼地域での持続的な移動鳥類計数作業と選別された結果物を国際学術誌に掲示するなどの国際的活動を行っている。国内の未記録種・渡り鳥を50余種発見し、鳥類目録の補強にも多大な貢献をした。
日本側受賞者:岩手県田野畑村住民と思惟の森
岩手県田野畑村は、東日本大震災の津波で破壊された岩手県宮古市近隣の、住民約4千人規模の小さな村。太平洋に面した村の後部には、住民と早稲田大学「思惟の森」の会の学生たちが共に掘り起こした「思惟の森」が広がっている。1960年、自然発生した火災で村の森が破壊されるや、早稲田大学の教授とこの村出身の学生が森を復元するために立ちあがり、村の住民と交流を開始。延2千余人の学生が参加して、約8万本のスギ、ヒノキなどを植え、間伐や剪定などの作業をしながら、同時に農業、漁業、酪農などを手伝い、小・中学生の勉強を指導するなど、住民と学生の交流を続けてきた。毎年、各地の多彩な大学生が参加し、自給自足の生活と農漁村体験を通じて、自然との共存を続けている同村は、観光NGO活動の起点にまで拡大している。