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特集 第4部 CCCのTSUTAYA戦略
新生TSUTAYAの生活提案
[2009-12-28 01:19:04]
データベースマーケティングの基盤となる全国1388店舗のTSUTAYA。それを支えるのが次々と可視化していく新たな生活提案であり、TSUTAYで楽しく働くスタッフ達である。増田が構想するプレミアムエイジ向けTSUTAYAの開発その集大成となる「代官山プロジェクト」に向け、新たなTSUTAYAが誕生している。(文中敬称略)
オトナのためのTSUTAYA
クリスマスを目の前にして、お洒落なイルミネーションや買い物客で賑わう東京ミッドタウン。その上質な空間に居を構えていた「TSUTAYAMUSIC STORE」が09年12月3日、オトナのためのTSUTAYA「TSUTAYA Lifestyle CONCIERGE」としてリニューアルオープンした。未来に残したい名作CD、DVD、書籍、雑貨が凝縮された45坪の店内は6つの売り場で構成され、豊富な品揃えを見回すだけでもワクワクしてしまう。内装や外装も一新され、茶系を基調とする高級感溢れる店舗デザインに仕上がっている。「未来に残したい名作や大切な人への贈り物となるアイテムを提案していきたい」と生活提案ビジネスユニットの元永純代は言う。
店内をご案内しよう。まず目を引くのは冬の夜を灯すキャンドルや絵本を始めとしたキッズ向けクリスマスギフト。来店客を出迎えるように店内中央に位置する売り場「SeasonFair」は季節ごとのおすすめ商品が展開されている。約1カ月ごとに1つのコンセプトに沿った商品が並ぶため、本誌が読者の手元に届くころはお正月バージョンとなっているだろう。
店内を反時計回りに歩いてみよう。入口右側に位置する可愛らしい売り場が「Kids」である。母、娘、孫と親子3代で受け継がれてきた名作絵本や童話のDVD、親子で歌える童謡CDが並んでいる。子供へのギフトや出産祝いに訪れるのも最適だろう。
そこから店の奥へと進むと、100年経っても色褪せない名作CDが集まっている。ジャズ、ロック、クラシック、JPOP、ブラックミュージックなどがジャンルごとに100作品揃う。これが「100選100年」を合言葉に、同店の目玉となる売り場「terpiece」である。100年続く不朽の名作を100タイトル選ぶのは、本社のマーチャンダイザー経験者や同店のコンシェルジュ達である。
店内奥には知的好奇心をくすぐる落ち着いた空間がある。書斎をイメージしたオトナの隠れ家「Library」である。モニターには音楽DVDが流れ、著名人とのコラボ企画も約1カ月ごとに実施される。オープニングではデザイナー、ナガオカケンメイが選ぶ「100年残したい名作」が置かれている。「改めて自分のお気に入りの名作を何十と選ぶのは難しかった。特に私がお勧めしたいのは、幸田文の『しつけ帖』ですね」とナガオカケンメイは話す。
この「Library」を挟み込むように、壁際に豊富なコンテンツが並ぶのが「Off Time gate」である。一つひとつの棚は「にっぽん」、「地球」、「世界」、「生き方」など11のジャンルに独自に構成される。例えば「地球」には「風の谷のナウシカ」が置かれるなど、テーマに則した本やCD、DVD、雑貨がアイテムミックスされて陳列されている。
店内左奥には「Master piece」の書籍ゾーンがあり、デザインの優れたジャケットの文庫本を集めた「ジャケ買い100選」や47都道府県別の出身者による作品で構成された「ご当地作家の棚」など興味をそそるコーナーも置かれている。
最後に紹介するのが、オリジナルギフトカードやギフトカタログなど、贈り物の新しい形を提案する「Gift」である。ここでは子供の名前を主人公にしたオーダーメイド絵本(3700円)など、一味違ったギフト商品が展開されている。さらに、店内の商品やメッセージカードを自由に詰め込んでプレゼントできるように、オリジナルのギフトボックスも販売されている。「TSUTAYAは企画のショールームです。これからも我々は楽しい生活スタイルを提案し、可視化していきます」。生活提案ビジネスユニットの清宮俊之はそう話す。
TSUTAYAの快進撃は驚異的である。1983年3月、大阪・枚方市で産声をあげると、それからわずか4年で100店舗を達成。90年には500店舗、01年には1000店舗を突破している。また、99年には渋谷駅ハチ公前交差点のシンボルにもなっている「SHIBUYA TSUTAYA」を、03年には東京・六本木ヒルズに「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」をオープンさせるなど、時代の流れとともに進化を遂げてきた。新たなTSUTAYAが次々に生まれ、一つひとつの生活提案が驚きと喜びを届けている。