特集ワイド:西新宿から4キロ2時間、「素人の乱」デモに参加した 「再稼働反対、再稼働反対!」鳴りやまないシュプレヒコール
毎日新聞 2012年07月04日 東京夕刊
「少しこちらへ」「はみ出さないでください」と随分丁寧な警察官に誘導される。管理された幅の狭い行進だが、ギリシャやイタリアのように若者ならぬバカ者の乱入で投石、暴動になることは当面なさそうだ。
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「このグループは楽しい感じなので来ました」と話すのは演劇評論家の高橋宏幸さん(33)。来るの面倒くさくない?と聞くと、「前はそうでしたけど、今はある種楽しいというか。デモが政治に直接影響を与えるとは考えづらいけど、意思をアピールできるデモ文化が日本にはありませんでしたから。安保世代は『再生』と言いますが、少なくとも今は、世界と同じようにデモが普通にある。それ自体がいいんじゃないですか」
ダンス理論専攻の大学准教授、武藤大祐さん(37)はツイッターなどで知り初めて参加した。「官邸前の映像を見て気持ちが動いて。デモが組織的になると私にはアレルギーがありますが、自然発生的なままなら今後もさらに広がる可能性、あると思います」
「日本人は変わった」と言うのは、路上から飛び入りした在日40年の米国出身の映画作家、ジャン・ユンカーマンさん(59)だ。「原子力ムラの存在がばれたのが大きい。企業や政治は汚く、政府がうそをつくとわかり、信頼をなくしたんです。そうなると市民は、自分でやるしかないという気になるんでしょう」