韓国・釜山の原発:隣接する村が電力会社に集団移転要望
毎日新聞 2012年08月19日 13時59分
今年2月、定期検査中の1号機が作業員のミスと非常用発電の故障により全電源がストップした。約12分後に復旧し、放射能漏れはなかったが、電力会社は事故を隠し、発覚が1カ月以上も遅れた。住民の原発不信が一気に膨らんだが、韓国政府は今月、夏の電力需給の逼迫(ひっぱく)を理由に再稼働を認めた。
フグ漁が盛んなのどかな漁村に原発建設の話が舞い込んだのは70年代。「温排水で魚がたくさん捕れると聞かされた」と金さん。電力会社は村の有力者を日本の原発に視察旅行に連れて行き、現金を握らせていたという。
原発から約1キロに住む李容岩(イ・ヨンアム)さん(65)によると、視察から戻っても有力者たちは何も語らず、原発は次々と建設された。だが疑問を持った住民が視察し、写真を見せて「日本の原発の隣に民家はない」と明かしたことで危機感が広がった。
今、漁をするのは16人だけ。福島の事故も影響し、村は昨年7月、村ごと別の土地に移転させるよう電力会社と上部行政組織の郡への要望に踏み切った。