オスプレイ:IDA元主任分析官に聞く

2012年8月19日 10時25分
(2時間12分前に更新)

 米国防分析研究所(IDA)の主任分析官としてオスプレイの開発に長年関わり、現在も同機の危険性を告発するアーサー・リボロ氏に、機体の構造や日米両政府の対応について聞いた。(聞き手=平安名純代・米国特約記者)

 ―2003年の内部文書でオスプレイの六つの欠陥を指摘した。

 「オスプレイの初期の開発段階から関わってきた。2000年のアリゾナでの墜落事故を受け、国防総省の依頼で評価書を作成。国防総省は私が指摘した六つの欠陥すべてを認めたが、開発は継続された」

 ―米軍普天間飛行場への配備に関する懸念は。

 「オートローテーション(自動回転)機能は、米連邦航空局(FAA)が定める耐空性基準ですべての民間ヘリに備わっている。軍用機には適用されないが、米軍はこれまで準拠してきた。しかし、オスプレイは初めてそこから逸脱した」

 「人口密集地で二つのエンジンが停止した場合、普通のヘリなら、滑空して着陸場所を探せるが、オスプレイは瞬間的に墜落するため、惨事に直結する可能性が高い。普天間では平時の運用となるため、そうした可能性は低いだろう」

 「だが、データは(1機当たり自動回転機能が必要になるケースが)5年に1度発生する割合を示している。オスプレイは六つの欠陥を今も抱えているため、人口密集地にある同飛行場への配備には危険が伴う」

 ―日本政府が、自動回転機能があると説明する根拠は何か。

 「海兵隊の説明をそのまま受け止めているからだろう。同機の専門家でない場合、提供されたデータなどの検証は非常に難しい」

 「自動回転機能を確認したい場合一番簡単なのは、実演を要請することだ。オスプレイはこれまで、同機能を実証することすら危険過ぎるというのが共通の認識だ。実証経験がないため、シミュレーターにも実像データがなく訓練は不可能だ。取り込まれている映像は、高い高度でエンジンをゆっくり止めたという状況に沿ったもので非現実的な想定だ。沖縄の人々の懸念を払拭(ふっしょく)したければ、まず米側が事実を伝えることだ」

 ―「人為的ミス」と結論づけた墜落事故が頻発している。

 「機体の構造の複雑さから、オスプレイの操縦には高度な技術が求められる。通常のヘリなら許容範囲で体勢が立て直せる単純なミスが、オスプレイの場合は事故に直結する」

 「ヘリモードの場合、風の影響を受けやすくなるため、小さな操縦ミスが事故につながりやすい。また、複数機での編隊飛行の場合、他機から生じる激しい気流の影響で、予想外の揺れを受け、墜落する危険性が生じる。 海兵隊は事故率のデータを根拠に安全性をアピールしているが、オスプレイが危険な航空機だとの私の認識は今も変わらない」

 アーサー・リボロ 元空軍パイロットでベトナム戦争にも参戦。1992年から2009年までIDAでオスプレイの主任分析官を務め、同機の開発試験にも携わった。

有料携帯サイト「ワラモバ」では、PCサイトにはない解説記事やスポーツ速報を掲載しています。» 詳しくはこちらから
« 最新のニュースを読む

写真と動画でみるニュース [一覧する]

沖縄ツアーランド