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2009年07月31日

人々はなぜ仲良くできないの?

性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」が取り組む性暴力被害の背景には、「暴力を許す構造」があります。
このため、個別の支援だけでは、性暴力をゼロにすることはできません。

竹中千春著『世界はなぜ仲良くできないの?』
http://books.hankyu-com.co.jp/_ISBNfolder/ISBN_04200/04209_sekai/sekai.html
では、暴力の構造と、連鎖を解く方法が示されています。
世界紛争を取り扱っていますが、「しあわせなみだ」が取り組む性暴力ゼロにも、沢山の示唆を与えてくれます。

1.なぜ世界で起こっている戦争やテロに関心が持てないか
2.なぜ社会的に弱い存在が生まれてしまうのか
3.どうすれば暴力の連鎖を解けるか

【なぜ世界で起こっている戦争やテロに関心が持てないか】(p.13-19)
・私たちは戦争やテロを「知りたくない」と思っているのではないでしょうか。知りたいことならお金や時間を使ってでも知ろうとします。しかし、毎日目の前のテレビにタダで流されている国際的な事件を見ないというのは、はっきりと、知りたくないという態度を反映しています。
・ではなぜ知りたくないのでしょうか。重要ではない、面倒くさい、自分には関係がない、生活の役に立たない、むずかしすぎて理解できない、といった理由もあるでしょう。でも、もっと根底には、「悲劇的な事件を知りたくないので無自覚に抵抗している」のではないでしょうか。そして事件を知ったところで、テレビの前の人を助けてあげることはできません。これは人としては大きなストレスです。
・ニュースを見たくないと感じることは、世界的な悲劇の重みを引き受けるだけの余裕がない、人として当たり前の反応です。けれども、見ず知らずの人々が苦しんでいる悲しい事件に耳を傾けようという気持ちが、ふと沸き起こってきたときには、ニュースをしっかりと聞き、新聞を読んでください。そこから、市民の時間が始まります。

【なぜ社会的に弱い存在が生まれてしまうのか】(p.37)
・グローバリゼーション時代は、人々の考えとともに、人、モノ、金、情報、ネットワークが国境を越えて移動します。そして、資本による過酷な自由競争を推進力として、世界を一つにするような求心力が働いています。それと同時に、世界を二つに分断させ、その間の緊張を生み出す遠心力も、非常に強く働いています。一握りの金持ちグループと、多数の貧乏人のグループに、世界が分裂してきています。
・貧しい人々や貧しい国々の正義を主張する思想(社会主義・共産主義・反植民地主義など)は力を失いました。金持ちに都合の良い資本主義や自由主義の思想や運動に、マイノリティや女性の思想、民主の平和を目指す思想は、互角に挑戦するほどの力は持っていません。貧しい人々には、正義を訴える言葉がなくなってきています。多くの人々は、黙って耐え忍ばざるを得ない状況に置かれています。

【どうすれば暴力の連鎖を解けるか】(p.223-230)
・暴力を止めたいと思うきっかけは「あ、痛い」と感じることではないかと思います。
・友人や家族について、「あ、痛い」と感じたことがありますか。もっと遠くの、一生会うこともない人々について、「あ、痛い」と思ったことがありますか。自分は痛くないのに、痛そう、と顔をしかめた経験がありますか。その感じが、仲間意識の芽生える瞬間だと思います

性暴力被害に置き換えてみると、こうなります。
・性暴力被害に関心が持てないのは、「悲劇的な事件を知りたくないので無自覚に抵抗している」ためではないでしょうか。事件を知ったところで、その人に対して「自分は何ができるか」もよく分かりません。これは大きなストレスであり、人としての感覚を持っているからこそ、情報を受け取ることに抵抗を感じます。
・性暴力被害は、権力のある者からない者(性別、人種、国籍、年齢、経済力、体力など)に対する人権侵害です。被害に遭う側が暴力を振るう側に対して正義を訴えることは、社会構造上とても難しいことです。
・性暴力被害を「あ、痛い」と受け止めてくれる人が増えることにより、性暴力を許さない風土が醸成されます。

「しあわせなみだ」が「あ、痛い」と受け止めてくれる人を増やす情報提供の場になるために。
まずはウェブサイトの開設に向け、準備を進めていきます。

2009年07月29日

性犯罪への裁判員制度の対応

5月18日のブログ
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/21
で、裁判員制度の裁判員選任手続きにおいて、性暴力事件被害者の氏名が裁判員候補者に開示されてしまうことについて、被害者保護の手段を講じることなく制度を開始してしまわないよう、緊急の要請への署名をお願いしました。

その後、実際の裁判開始に向けて、各裁判所で対応が進められています。

2009年07月25日付「河北新報」では、仙台地方裁判所が、同じ容疑者が犯した強姦(裁判員制度対象)と、強制わいせつ未遂罪(裁判員制度対象外)を、被害者のプライバシー保護を理由に、審理を別々に実施する方針を固めた、という記事を掲載しています。
両方の事件を一緒に審理することになると、本来は裁判員裁判で審理されない強制わいせつ未遂事件の被害者に関する情報を、裁判員やその候補者に示さざるを得なくなります。
そこで、審理を分離するという判断を示しました。

審理を分離することは、強制わいせつの被害に遭われた方が不必要な個人情報を知られなくて良いというメリットがあります。
一方で、刑罰の判断が個別になるため、2つの事件を一緒に審理して刑罰を判断する場合よりも、罪が軽くなってしまう可能性も残されており、弁護士側からは「被告の利益を害しかねない」との指摘も出ています。

なお、裁判員制度対象となる、強姦の被害に遭われた方のプライバシーに関しては、対応が分からないままです。
さらに青森地方裁判所では、強盗強姦罪など、複数の性暴力の罪で起訴された加害者の審理を、併合する方針を決めるなど、裁判所の対応も割れています。

裁判員制度については、性暴力被害者をはじめとする、被害者のプライバシー保護への対応が課題となっています。

裁判は誰のために、そして何のために行うのか。
そこに裁判員制度はどのように関与すべきなのか。
一人ひとりが「自分が裁判員になったら」「自分が被害者になったら」、さらには「自分が加害者になったら」という立場からも、考えねばならないと感じます。

2009年07月28日

女性シェルター宿泊に行ってきました

女性シェルター宿泊に行ってきました。
今日が初日、これから月2回ほど働かせていただく予定です。

女性シェルターは、性暴力被害に遭うなど、自分の力だけで生活することが難しくなった方に、生活の場を提供し、新しい人生に向かう女性を応援する場です。

ひとまず何事もなく終了、一安心です。

シェルターを利用されている方は、様々な理由によって、一時期的に自分が本来持っていた力が弱くなっています。
シェルターという安心して過ごせる場で、自分を大切にできる気持ち、自分に対する自信を取り戻すお手伝いを少しでもできれば・・・と思っています。

性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」も、被害に遭われた方、身近な方が被害に遭った方、性暴力被害をゼロにしたい方が、これからの人生を幸せで健康に過ごすことを応援できる場にしたいと、改めて感じました。

2009年07月26日

「本音で語ろう!生きやすさって何??」大盛況終了しました 

性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」がお手伝いしたイベント「本音で語ろう!生きやすさって何??」
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/33
おかげさまで無事終了いたしました。

当日は100人を越える皆様にお集まりいただきました(これは過去4回開催した中で最も多いそうです)。
このブログを読んでくださっている方の中にもご参加いただいた方がおり、本当に感謝しております。

プライバシー保護の関係で、内容の詳細を記載することはできないのですが・・・

1.「今生きていること」への感謝
2.「これから生きていくこと」の素晴らしさ
3.今の素敵なあなたに自信を持つこと

こうした想いが少しでも伝われば・・・と思います。

多くの方に支えられていることを、改めて実感しました。
本当にありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いいたします。

2009年07月23日

問われる日本の人身売買対策

トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』開催!
↓詳細はこちらをご覧下さい↓
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/33

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女性と子どもの人身売買に関する国連特別報告者ジョイ・エゼイロ(Joy Ngozi Ezeilo)氏が日本政府の公式招へいで、7月12日から18日まで、来日しました。
また、7月9日から17日までは、前米国務省人身売買監視対策室長で、現在は人身売買禁止ネットワークポラリスプロジェクト
http://www.polarisproject.jp/
アメリカ本部事務局長を務めるマーク・レーゴン氏が、来日しました。

2人は来日中、政府関係者への聞き取りや人身売買防止団体との懇談、講演会などを行いました。

↓詳細は以下のプレスリリースをご覧ください↓
■「問われる日本の人身売買対策;人身売買に関する国連特別報告者、初の公式来日」
http://polarisproject.jp/images/about/prs/un.pdf
■「世界の人身売買対策 前米国務省人身売買監視対策室長が東京で講演」
http://polarisproject.jp/images/about/prs/07162009.pdf

以下、プレスリリースならびに「ポラリスプロジェクト」のサイトから、人身売買の現状を簡単にまとめました。

■人身取引問題は、世界第二の犯罪「産業」として、急激に「成長」している
人身取引は、「労働」「臓器」そして「ポルノ」や「売春・性労働」といった「性的搾取」を目的として行われる人権侵害です。
現在では、麻薬取引に次ぐ、世界第二の犯罪産業と言われています。
世界では、奴隷的な環境で生きている人が、1,200万人に上るとされています。
近年、人身取引のかたちは巧妙化、多様化しています。
就労等の目的で入国した人が、実際は人身取引の対象であることも、少なくありません。

■日本での取り組みは世界的に遅れている
日本にも人身売買は存在します。
児童買春、児童ポルノによる被害児童数は、毎年1,500人を超えています。
そして残念ながら日本は、人身売買対策が不十分な国として、国際的に批判されています。
例えば、2001年より米国務省が毎年発表している人身売買報告書において、日本はロシアと並んで、G8諸国のなかで唯一、人身売買対策が不十分な国としての評価を受けてしまっています。
日本政府は、これまで、2004年12月に国内行動計画を策定、2005年には刑法、入管法、児童福祉法等の改正を行いました。
しかし、実効的な人身取引対策は進んでおらず、人身売買の被害者として認定される数も、年々減ってしまっています。

人身売買も、性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」が取り組む性暴力被害も、権力の「ある者」から「ない者」に対する人権侵害です。
背景には、人権侵害という「暴力」を許す社会構造があります。
得をする「誰か」がいる限り、暴力が止むことはないのです。

暴力を許さない風土を醸成するためには、あなたの力が必要です。
あなたが「暴力を許さない」意思を持ち、守り続けてくれたら、本当に嬉しいです。

2009年07月22日

イベントをメールニュースでご紹介いただきました!

トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』開催!
↓詳細はこちらをご覧下さい↓
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/33

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性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」がお手伝いさせていただくトークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』を、メールニュースでご紹介いただきました!

イベントを掲載していただいたのは、次の社会を創る起業家・経営者・リーダーを育成する特定非営利活動法人ETIC.
http://www.etic.or.jp/
が発行する
メールニュース2009年7月21日号です。

現在「しあわせなみだ」はETIC.が主題する相談会に参加させていただいており、そのご縁もあって、ご紹介いただきました。
↓相談会の様子はこちらです↓
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/27
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/32

以下メールニュースの抜粋です***

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★ETIC.メールニュース イベント・募集情報版    
/ 2009年07月21日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    NPO法人ETIC.(エティック)http://www.etic.or.jp/

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【トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』 】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【日時 】
2009年7月25日(土) 13時00分〜17時00分(12時30分開場)

【会場 】
新宿ロフトプラスワン
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/
(新宿区歌舞伎町1-14-7 林ビルB2/TEL03-3205-6864
JR新宿駅東口から徒歩7分)

【料金】
1,500円(飲食別)

【出演者】
暗器使い(当イベント主催者)
雨宮処凛(作家)
月乃光司(作家、こわれ者の祭典代表)
アイコ(こわれ者の祭典メンバー)
市野善也(「ひきこもりの社会理論」著者、当イベント司会者)
タダフジカ(ギタリスト)

【内容 】
★1.トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』
★2.「こわれ者の祭典」メンバーによるパフォーマンス
★3.あなたも語ってみませんか??

【主催者より】
今回のイベントの目的は大きく二つあり、
一つは『本音で語り合う事』、もう一つは『生きる希望を考える事』です。
仕事から人間関係から恋愛や性の問題など、
様々な分野で「今の世の中は生き辛い」と言われてはいますが、
今回のイベントでは、ただ「苦しい」「辛い」と生きづらさを語るだけ
ではなく、『では具体的にどうしたらその生きづらさが解消されて、
楽に生きれるのか??』と、『生きる事』を大前提にして、
前向きに『生きやすさ』を考えていきたいのです・・・

↓主催者からのメッセージの続きはこちらから
7月25日のイベントのところに掲載されています↓
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/schedule/lpo.cgi?year=2009&month=7

【参加方法】
事前申込不要、当日直接会場にお越しください

↓詳細はこちらをご覧下さい↓
https://canpan.info/open/news/0000004040/news_detail.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

こうして色々な方に色々な媒体を通じてご紹介いただけことを、本当に光栄に思っています。

イベント開催まであと3日。
生きることに悩む1人でも多くの方に、この情報を届けたいと思っています。
もしあなたがメーリングリストやSNSなどに加入していたら、是非このイベントをご紹介いただけないでしょうか。
もしくは「ここにも掲載できます」といった情報がございましたら、是非教えていただけないでしょうか。

このイベント通じて1人でも多くの方が、これからも人生を前向きに考えることができれば・・・思っています。

2009年07月21日

リアライズYOKOHAMA様のお力をお借りできることになりました!

トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』開催!
↓詳細はこちらをご覧下さい↓
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/33

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リアライズYOKOHAMA様
http://www.realize-yokohama.jp/
の方と打ち合わせをしてきました。
そして性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」の活動に、リアライズYOKOHAMA様のお力をお借りできることになりました!

リアライズYOKOHAMA様は、女性が自分自身の身を守るためには実際にどうすればよいかを学ぶことを目的として、 2003年4月に立ち上がった、神奈川県を中心に活動している女性グループです。
「WEN-DO(ウェン・ドウ)」の普及を中心に、「障がい児・子供を対象とした性教育プログラム」などの活動を行っています。

「WEN-DO」とは、女性のためのセルフディフェンス(自己防衛)のプログラムです。
“WEN=WOMEN(女性)”、“DO=道(柔道、合気道などの道)”の意味から、名付けられました。
身体的な面だけでなく、自分の中にあるたくさんの“力”について考えることで、未然に暴力から身を護るという考え方、「嫌なことには “NO”と伝えてよい」ということ、人間関係のありかた等への理解も、深めることができます。

性暴力被害の背景には、暴力を許す社会構造があります。
暴力を許さない風土を醸成し、すべての人が幸せで健康に過ごせる社会を実現する第一歩は、一人ひとりの人間関係のあり方です。
暴力を含めた権力を前提とした関係においては、権力のある者は、ない者の人生をコントロールします。
権力のない者はある者に依存するしかなく、「自分の生き方は自分で決める」という当たり前のことができなくなります。

あなたは「そんなの一部の人だけ」と思うかもしれません。
しかし、意外なところにも、権力を前提とした人間関係は存在しています。
子どもや高齢者に対する「虐待」、職場における「セクハラ(セクシャル・ハラスメント)」「パワハラ」(パワー・ハラスメント)などの「ハラスメント」・・・。
そして「痴漢」「ドメスティック・バイオレンス(身近な人への暴力)」「性暴力」も、権力関係があるからこそ、起こる被害です。

リアライズYOKOHAMA様のお力をお借りできることで、「しあわせなみだ」に関心を持ってくれる皆さんが、まず身近なところにある権力構造に気づき、変えていく力を発揮できる、お手伝いができればと思います。

2009年07月20日

女性・子どもが被害に遭う犯罪情報の通報を24時間受付

トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』開催!
↓詳細はこちらをご覧下さい↓
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/33

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児童買春や児童ポルノ、人身取引など子どもや女性が被害に遭う犯罪に関する情報を匿名で受け付ける、警察庁の「匿名通報ダイヤル」が、7月1日からインターネットでの通報受け付けを始めました。
インターネットでの通報受け付け開始により、以前から要望が多かった、昼夜を問わずの通報受理が可能となりました。

このダイヤルは、2007年10月から運用を開始しています。
委託先である、国際的犯罪防止NPOの日本支部「日本ガーディアン・エンジェルス」
http://www.guardianangels.or.jp/
が、平日の午前9時半から午後6時15分までフリーダイヤルで情報を受け付けています。

通報の対象は、子どもや女性の福祉を害する犯罪や人身取引事犯で、具体的には、児童買春、労働基準法違反、覚醒剤使用、強制わいせつ、人身売買、出入国管理法違反、売春防止法違反などとなっています。
匿名による情報提供を受け、全国の警察本部に通報、これを捜査等に役立てることにより、そうした犯罪の被害となっている子どもや女性を早期に保護します。
被害者を保護したり、容疑者逮捕につながった情報には、上限10万円の情報料が支払われます。

制度開始の2007年10月から2009年5月までに、計666件の通報を受理しました。
内容は、児童買春など少年の福祉を害する犯罪情報が314件、人身売買に関する情報が64件、その他が288件でした。
このうち、児童に淫行(いんこう)させたなど11事件で、30人が通報をもとに検挙されました。
なお、情報料の支払対象となったのは6件で、受領の申し出があって支払われたのは1件でした。

性暴力被害をはじめとする犯罪被害者は、「力のある者」から「力のない者」に対する人権侵害を受けています。
このため通報したくでも通報できない、もしくは通報先を知らない、犯罪に巻き込まれている事に気づいていない(自分が悪いと思い込まされている)場合もあります。
だからこそ、社会全体が暴力を許さない風土を醸成し、暴力行為に気づいた人が通報することが必要です。
このダイヤルが機能することで、1人でも多くの人が暴力被害から逃れることを願うとともに、あなたの周りで暴力被害に巻き込まれている人がいたら、是非このダイヤルを活用して欲しいと思います。

【匿名通報ダイヤル】
↓フリーダイヤルはこちらです↓
0120−924−839
↓受付サイトはこちらです↓
http://www.tokumei.or.jp

2009年07月16日

権力が人権を侵害する

トークイベント『本音で語ろう!生きやすさって何??』開催!
↓詳細はこちらをご覧下さい↓
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/33

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女性と仕事の未来館
http://www.miraikan.go.jp/
が主催するセミナーに参加してきました。
テーマは『「パワハラと社内いじめ」その対応を考える』
講師は株式会社クレオ・シー・キューブ 原いずみ氏でした。
http://www.cuorec3.co.jp/

↓セミナーの詳細はこちらです↓
http://www.miraikan.go.jp/kyaria_kaihatsu/369.html

セミナーテーマである「パワハラ」(パワー・ハラスメント)は、職権などのパワーを背景とした人格や尊厳の侵害です。
一方で性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」が取り組む「性暴力被害」は、性、人種、経済力、体力などといったパワーを背景として、性に暴力を振るう、人権侵害です。
「権力が人権を侵害する」という共通項の中で、多くの学びがありました。

1.誰もがパワハラの被害者・加害者になる可能性を持つ
2.パワハラはエスカレートする
3.パワハラの立証は難しい

【1.誰もがパワハラの被害者・加害者になる可能性を持つ】
パワハラの「パワー」の背景となるものには、職権以外にも、仕事上のスキル、派閥、組織内倫理など様々です。このため、一般的なイメージとして持たれている「上司から部下」だけでなく、「同僚から同僚」や「部下から上司」に対しても、パワハラが起こる可能性があります。また現代社会の「競争社会」「雇用形態の多様化(非正規社員の増加)」「IT化などによるコミュニケーション不全」といった状況は、働く人々の「ゆとり」をなくし、パワハラの加害者となる要素を持ちやすくしています。

【2.パワハラはエスカレートする】
パワハラは他人との「違い」による優位性から始まります。「違い」が積み重なることで、どんどんエスカレートしていきます。自分の感情がパワーに乗り、ハラスメントを加速していきます。さらに、個人間で始まったパワハラは、集団にも伝播します。社内の人に相談して問題が明るみになると犯人探しが始まる等、組織全体がパワハラ的な体質をもってしまうこともあります。

【3.パワハラの立証は難しい】
パワハラには今のところ法的背景がありません。このため組織がパワハラの存在を認め、対応するには、「決定的事項」(被害者が怪我をしたなど)や「業務上の支障」(加害者の部下がどんどん退職するなど)がなければ難しい状況です。

性暴力被害も、よく似た構造を持っています。
【1.誰もが被害者・加害者になる可能性を持つ】
【2.被害者に対する周囲の眼は厳しくなる】
【3.性暴力被害の立証は難しい】

今春起こった京都のある大学の性暴力被害事件で説明します。
(これは7月15日のブログ
http://blog.canpan.info/shiawasenamida/archive/40
に記載した、女性の安全と健康のための支援教育センターで学んだ内容です。)

※被害に遭われた方へ・・・性暴力被害・セカンドレイプの事例を取り上げております。フラッシュバックを起こす可能性があります※

【1.誰もが被害者・加害者になる可能性を持つ】
被害者も加害者たちも、同じ大学の学生でした。
加害者は大学のサークルではリーダーとして活躍し、人望のある人物でした。

【2.被害者に対する周囲の眼は厳しくなる】
被害後、被害者と親は大学に被害を相談しました。
大学は加害者を呼び出して事実を確認し、停学処分をくだしました。
加害者は4年生で就職間近、教員採用が決まっていた者もいました。
被害者は警察に告訴、警察は加害者を準強姦容疑で逮捕しました。
加害者を知る学生を中心に、逮捕を疑問視する声が相次ぎました。
各々の気持ちは以下のようではなかったでしょうか。
<加害者>被害者は同意した。なぜ逮捕?卒業も就職も棒に振ったのに。俺が悪いのか?
<大学>穏便に済ませたかったのに。大学名が傷ついた。就職先からの信頼も失った。
<周りの人>事件が信じられない。自分の通う大学で不名誉なことがあり迷惑。
結果として被害者は復学できていません。

【3.性暴力被害の立証は難しい】
被害者は告訴を取り下げました。
本来この事件は親告罪ではないので、告訴がなくても訴追でき、警察に届出をすればすぐに捜査が開始される内容でした。
しかし告訴を取り下げたことで、警察は「本人の意思がない」と判断、捜査を打ち切りました。

性暴力被害の背景には、暴力を許す社会構造があります。
暴力を許さない風土を醸成することが、「見えない加害者」を減らすことにつながります。
このブログを読んでくださっているあなたが、「暴力を許さない」人になってくれたら、とても嬉しいです。

2009年07月15日

暴力のない社会を人の手で作るために支援者の立場から語る 

女性の安全と健康のための支援教育センター
http://shienkyo.com/
が主催する研修に参加してきました。
2日間×3回、計6日間に渡り、性暴力被害者支援の第一線で活躍されている講師の方々から、講義を受けることができ、今回はその第1回目でした。
↓研修の詳細はこちらをご覧ください↓
http://shienkyo.com/modules/TinyD3/index.php?id=20

様々な立場(婦人相談員、弁護士、DVシェルタースタッフ、医者等)で活躍されている方々からの講義は、性暴力被害の社会的構造を体系的に見る上で、とても勉強になりました。
2日間本当に多くの気づきがあったのですが、性暴力被害ゼロネットワーク「しあわせなみだ」のテーマでもある「1人でも多くの方に性暴力被害ゼロに関心を持ってもらう」観点で、沢山の発見がありました。

1.暴力は人間が作り出したものだからこそ、暴力のない社会は人の手で創ることができる
2.誰に向けてどの立場で語るか

【1.暴力は人間が作り出したものだからこそ、暴力のない社会は人の手で創ることができる】
暴力は自然発生したものではなく、人が作り出したものです。加害者が存在するのは、安心して暴力を振るうことのできる社会があるからです。暴力の根絶には、「何が暴力を振るわせたのか」という、「文化」や「社会構造」に目を向けることが必要です。暴力は人間が作り出したものだからこそ、社会、そして私たち一人ひとりは、暴力ゼロに向け動く責任があります。

【2.誰に向けてどの立場で語るか】
暴力反対の根底には「人権思想」があります。「当事者という弱者を救済する」という「善意という名の悪意」ではなく、自分の立場から語っていくことが大切です。「当事者を代弁しよう」というのは、当事者を利用しているだけです。同じ「人間」として、人権擁護のための社会変革を実現していくために、発言していくことが求められています。

私自身「被害者の声を聞く」というのと「被害者の声を社会に伝える」というのを、混同していたところがありました。
被害者の声を聞き、それを「支援者の立場で社会に伝えていく」ことが、私にできることです。

あと2日間×2回、沢山のことを学び、私にできることを考えていきたいと思います。