(朝鮮日報日本語版) 韓国の大学入試、うそや誇張された内容の推薦書が横行
朝鮮日報日本語版 8月18日(土)12時0分配信
韓国の大学入試で入学査定官(各大学で事務組織から独立し、新入生の選抜を担当する教育課程の専門家)制度が導入されてから5年目を迎えたが、教師がうそや誇張した内容の推薦書を乱発する事態につながっている。「リーダーシップが優れている」「人格が優れている」「困難に直面したとき率先垂範する」といった表現は、教師が発行する多くの生徒たちの推薦書に登場している。
保護者たちは「文章が上手」と評判の知人に依頼したり、コンサルティング業者に数十万−100万ウォン(約7000−7万円)を支払い、推薦書の作成を依頼したりしている。ソウル市内のある高校教諭は「教師にとっては進学実績も大事なため、普段は礼儀知らずで利己的な生徒であっても、推薦書には『人格が優れている』と記載している。良いことを良いと書き、褒め言葉を並べ立てているが、このような推薦書を書いてもよいのかという自責の念に駆られることがある」と語った。また、ソウル市内の私立大のある入学査定官は「生徒生活記録簿(内申)には具体的な活動の記録が書かれていないのに、教師の推薦書は褒め言葉で埋め尽くされているケースが多い」と話した。
このように、事実に反する内容の推薦書がまかり通っているため、入学査定官制度が骨抜きになりかねないと懸念する声が出ている。
ソウル科学技術大のチョ・ヒョワン入学査定官室長は「教師の推薦書が事実に反するものだと、入学査定官制度に対する信頼が損なわれかねない。虚偽の内容の推薦書を提出した高校に対しては、教育の大計をないがしろにした責任を問い、制裁を加えられるようにすべきだ」と指摘した。また、ソウル大のある教授は「大学をだまして入学した事実が明らかになった場合、大学はその学校や学生に関する情報を交換し、入試に反映するという方法も検討したい」と話した。
一方、米国の大学入試では、教師の推薦書は率直かつ客観的な形で作成されている。入学査定官制度が早くから定着している米国では、自己紹介書と合わせ、教師の推薦書が入試で最も重要視されている。
米国の高校教諭たちは推薦書を書くことを「責任」であり「義務」だと考え、生徒に推薦書の内容を教えることもほとんどない。うそや誇張した内容の推薦書を書いたことが発覚すれば、その高校に対する信頼が低下し、その学校の生徒や卒業生たちが翌年の入試から不利益を被ることになるからだ。
また、米国の高校には、生徒たちの大学入試に関する業務だけを担当する「カレッジカウンセラー」がいる。カウンセラーに対しては授業時数を少なくしたり、授業を免除したりして負担を減らす代わりに、進路や進学についての相談に当たらせ、入試に関する業務を担当させている。
米国の大学入試に詳しい専門家は「米国の高校教諭たちは、普段学校で問題ばかり起こしている生徒が推薦書を書くよう依頼した場合『私は君を推薦することはできない』と切り捨てる。教師の推薦書はそれだけ、信頼に値し威力を持つものだ」と語った。
最終更新:8月18日(土)12時0分
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