「親睦組織」の位置づけを「取材重要拠点」に変更
以前のコラムでも触れたと思うが、筆者は新聞社在勤中に、日本新聞協会の記者クラブ問題小委員会(各社の編集局次長クラスで構成)のメンバーとして、記者クラブ見解を作成した経験がある。1997年の見解だ。その後、この見解は修正されているが、基本的な内容は変わっていない。
97年見解で最も重要な部分は、それまで「親睦組織」という位置づけであった記者クラブを、取材のための重要拠点と規定したところにある。
公的機関は国民に対して情報公開、説明責任という重要な責務を負う。報道側は国民の知る権利を背景として取材報道の自由をどこまでも追求する。その双方の責務が重なりあう部分に記者クラブが存在するといった意味合いである。
公的機関が記者クラブに対し、その建物の中に無償で記者室を提供するというのは、以上のような見解が根拠となっている。無償と書いたが、これは部屋の賃料の意味である。近隣の相場並みの賃料を払えという主張があるが、これをやったら、大手の新聞社はおそらく数億、数十億円の出費となる。そんなことになったら、新聞社の倒産相次ぐという事態も招きかねない。
これは自由な言論報道機関を多数擁するという民主主義国家の根幹を揺るがすことになり、ひいては国民の不利益を導く。
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