活動家移送に緊迫 大声で「尖閣は領土」

2012年8月17日 09時38分
(20時間52分前に更新)

 「釣魚台(尖閣諸島)は中国領土だ」。不法上陸や入国の疑いで逮捕され、那覇新港に巡視船2隻に分かれ移送されてきた香港の活動家団体メンバーらは16日、報道陣の前で興奮した様子で声を荒らげた。にらみつけるような強い視線を向ける男たちの移送に港は緊迫感に包まれた。一方、活動家が乗っていた抗議船は石垣港までえい航され調査を受けた。

 同日午前8時半ごろ、県警に不法上陸の疑いで逮捕された5人が乗る11管の巡視船「くにがみ」が姿を現した。県内外、香港のテレビ局ら報道陣約50人が待ちかまえた。

 同9時44分。緑色のジャージーにTシャツ姿の真っ黒に日焼けした男が船底から現れると、一斉にフラッシュがたかれた。一人ずつ船から県警の捜査車両に移された5人は、報道陣に向かって不当逮捕だと叫び続けた。男2人の身柄の移送先となった那覇署でも報道陣に振り返って叫ぶ男がいた。

 半日がたった午後9時40分ごろ、残りの9人を乗せた巡視船が入港。最初に現れた男4人は報道陣を鋭いまなざしで威嚇し、声を張り上げた。

 残りの4人はフードで顔を覆い、残り1人は顔は見せたままで無言でおとなしく車両に乗り込んだ。

 9人は11管職員が運転するワゴン車5台に乗せられ、午後11時前から同市の福岡入管那覇支局に次々に入った。報道陣の照らすライトに、車の中央部に座り、じっと前を見る男たちが浮かんだ。

 活動家が乗っていた抗議船は民間タグボートに引かれて同日午後4時半ごろ、石垣港に入港。抗議船の国旗や横断幕は外されていた。

 抗議船を視察した中山義隆石垣市長は「よくこの古い船で(尖閣諸島まで)来たなという感じ」との印象を述べた。

香港メディア続々
正しい行動貫いた/平和的解決策を

 14人の逮捕を受け、香港メディアが16日、続々と沖縄入りした。容疑者が移送された那覇新港では、スタッフが逮捕された「フェニックステレビ」のリポーターが衛星生中継した。

 リポーターは日本の報道陣に、「逮捕されている以上は事実を報道しなければいけない」と強調。「送検か強制送還か、日本の対中政策への影響はあるのかなどが(国民の)高い関心事だ」と話した。

 逮捕された2人を留置する那覇署前には、15人ほどの香港メディアが集まり、署を訪れた香港政府関係者に「2人をどう助けるのか」などと問い掛けた。

 台湾で抗議船と合流し、尖閣諸島に向かう予定だったという新聞記者は、「私も捕まっていたかもしれない」。船が台湾に寄らず、乗船できなかったが、「島は中国の領土。活動家たちは強い意志で、正しい行動を貫いた」と称賛した。

 テレビ局リポーターは「今は現状を維持するしかないのではないか。将来、平和的な解決策を探るべきだ」との見方。別のテレビ局記者は「歴史の教訓から、軍事衝突だけは避けなければならない」と強調した。

 一方、別の新聞記者からは「一般住民は刺激的なニュースだと受け止めているが、真剣に領土問題を考えているわけではない」との意見もあった。

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