香港国際空港に到着後、大勢の報道陣に囲まれ記者会見する強制送還の活動家(中央右)=17日夜(共同)【拡大】
最後までやりたい放題だった。香港への便が駐機する那覇空港。香港の活動家らは、取材のカメラにタラップでピースサインをつくり「成功したぞ!!」と大声で訴えた。ある活動家は中国語で『命をかけて釣魚島を取り戻す』と書かれているTシャツ姿だった。
また、別の活動家は「私たちには釣魚島に上陸する権利がある。また行くぞ。日本側からの許可など必要ない」と強気の発言に終始。抗議船に同乗し、逮捕された香港のフェニックステレビの記者も「不法入国であるとは認めない」と言い切った。
これらの様子を、香港のテレビ局は同空港に駐機中(離陸前)の機内から生中継。さらに飛行中の機内で日本メディアなどの取材に応じた、普段は専門学校の教師だという男性(60)は「石原慎太郎東京都知事による購入発言などがあったから、こういう行動に駆り立てられた。本当は平和に解決したい」などと話した。座席は豪華ビジネスクラスだった。
香港の「保釣行動委員会」のメンバーや香港のテレビ局員ら14人が入管難民法違反容疑で逮捕されたのは15日だった。逮捕から強制送還までわずか2日間。尖閣諸島の領有権主張が目的だったとみられるが、捜査の時間が十分だったとは言い難い。事実、活動家らはナメ切ったように「また行くぞ」と言って去った。
もっとも、不法入国者の帰国に際しては、現金がない場合などを除き、不法入国者の自己負担が原則。出国した活動家らは、自費で帰国の途に就いた。「強制送還」に不服がある場合は法務大臣に異議を申し出ることができるが、それもなかったという。
入管当局は早い段階から「帰国費用を日本側が出す理由はない」(幹部)と明言。空路で出国した7人は航空券を自費で手配した。中国側が渡航のための臨時パスポートも発行したため、入管は出国を許可したという。
一方、残る7人は不法上陸に使われた抗議船を使って送還。入管当局によると、抗議船への燃料や食料の補給についても「日本の負担はない」としている。
(紙面から)