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今を生きる 男子復活 県民にもエール OBら"夏練"で熱血指導 福島高応援団 伝統守るぞ

OBから熱の入った厳しい指導を受ける(手前左から)渡辺君と元内君

■1年生の渡辺歩史君、元内省君 入団
 「声が小せぇ」「腹に力を入れろ!」-。福島高の校舎前で叱責(しっせき)の声が響き渡る。学ランを汗でびしょびしょにしながら声を絞り出すのは1年の渡辺歩史(ほし)君(16)と元内省(せい)君(16)だ。4年ぶりに入った男子団員が夏休み中の練習に喉をからしている。

 同校の応援団には男女共学後に生まれた「チアリーディング」と伝統的な「応援団」がある。男子中心の応援団は平成20年以降、入団者ゼロが続いていたが、2人の入団で復活した。
 2人は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で、福島市内の体育館などに多くの人が避難してきた光景などを目の当たりにした。共に父親が県警の警察官。親譲りの使命感から、「福島高だけでなく被災した県民全員にエールを送り、勇気づけたい」と意欲に燃える。
 渡辺君の父親は同校OBだ。母校の応援団員がいなくなったことを残念がっていたため「自分が応援団を復活させたい」と決意した。元内君は幼いころに球場などで見た応援団の姿に憧れを抱いていた。
 入団後、福島医大3年の角田圭一さん(26)=平成17年卒、105代副団長=ら大学生や社会人のOBが、伝統を絶やさず応援団の精神を引き継ごうと指導を続けてきた。14日から1週間ほど、お盆で帰省したOBらも含めた伝統的な夏季集中特訓"夏練"を実施している。
 指導に当たったOBの大橋俊之さん(27)=16年卒、104代応援団長=は「福島高応援団を通じて福島の元気を全国に発信できれば」と話す。高橋直也さん(27)=16年卒、104代旗手長=は「応援団は福島高の象徴。なんとしても残してほしい」と期待した。

カテゴリー:連載・今を生きる

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