大企業オーナーの経済犯罪、厳罰主義に転換

「経済に与える影響を最小化するため、収監しない」―2007年の鄭夢九(チョン・モング)現代自動車会長に対する一審判決
「倫理経営と社会貢献活動を誓っており、刑の執行を猶予する」―今年1月の譚哲坤(タム・チョルゴン)オリオン会長に対する二審判決
「犯行により最も利益を得ながら、責任を実務担当者に転嫁するなど反省していない点から見て、厳罰の必要性がある」―16日に下された金升淵(キム・スンヨン)ハンファ会長への一審判決

 系列企業の株式を家族に不当な安値で取得させたなどとして、背任や横領の罪で起訴されたハンファ・グループの金升淵(キム・スンヨン)会長に対する一審の判決公判が16日、ソウル西部地裁で開かれ、懲役4年、罰金51億ウォン(約3億6000万円)の実刑判決が下された。金会長は在宅のまま裁判を受けていたが、判決を受け直ちに収監された。判決は金会長がグループに3024億ウォン(約212億円)の損失を与えたほか、15億ウォン(約1億円)を脱税したと認定した。

 同地裁はまた、金会長の指示で背任に関与した麗川NCCの洪銅玉(ホン・ドンオク)代表理事に懲役4年、ハンファ国土開発のキム・グァンス元代表理事に懲役2年6月の実刑をそれぞれ言い渡した。

 大企業のオーナーの不正事件ではこれまで、一審で実刑判決が出ても保釈が認められ、二審では執行猶予付きの判決が出たり、一審または二審で「社会的貢献を考慮し」とか「経済に与える影響を考慮し」といった理由で執行猶予が付いたりすることが多かった。これは大企業オーナーに対する裁判で半ば「慣習」として通用してきた。

 企業分析を行う財閥ドットコムなどによると、1990年以降に経済犯罪で起訴された大企業オーナーのうち7人は、結果的に執行猶予判決を受け、大統領による特別赦免の対象となった。横領、粉飾会計などで起訴された現代自動車の鄭夢九(チョン・モング)会長、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長は一審で懲役3年の判決を受けながら保釈され、二審で執行猶予付きの判決が出た、サムスンの李健熙(イ・ゴンヒ)会長、斗山の朴容晟(パク・ヨンソン)元会長は一審段階で執行猶予となった。

 法曹界では、16日の金升淵会長に対する判決について、大企業オーナーの不正など経済犯罪に対する裁判所の判決が「厳罰主義」に転換していると受け止めている。ソウル西部地裁は今年2月にも泰光グループの不正事件で一審で李豪鎮(イ・ホジン)元会長とその母親の李善愛(イ・ソンエ)元常務にそれぞれ懲役4年6月、懲役4年を言い渡した。当時の判決は「健康上の理由や高齢は量刑上考慮すべき事柄ではない」と指摘し、在宅で裁判を受けていた84歳の李元常務も収監した。

 裁判所が大企業オーナーに執行猶予を認めてきたのは、「社会的貢献」「経済への悪影響」といった理由のほか、起訴事実の相当部分が無罪となったことも関係している。

 金升淵会長は今回の裁判で、被害額4856億ウォン(約340億円)の背任、26億ウォン(約1億8000万円)の脱税、29億ウォン(約2億円)の横領で起訴され、裁判所はこのうち、3024億ウォン相当の背任、15億ウォンの脱税に関してのみ有罪とした。判決は一部有罪だったが、ソウル西部地裁は「反省していない」という理由で収監を決めた。同時にハンファ・グループの経営陣2人も収監し、大企業オーナーの違法行為を監視せず、それに加担した責任を厳しく問うた。

 大企業オーナー以外でも最近、釜山貯蓄銀行の金洋(キム・ヤン)副会長に懲役14年、トマト貯蓄銀行の申鉉圭(シン・ヒョンギュ)会長に懲役12年の一審判決がそれぞれ下されている。

趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者、権承俊(クォン・スンジュン)記者
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