1回の充電に数時間かかる電気自動車のバッテリーをわずか1分で100%充電できる新技術を韓国・蔚山科学技術大親環境エネルギー工学部のチョ・ジェピル教授の研究陣が開発した。新技術はリチウム充電池の陽極に使われる電極用粉末粒子の大きさをこれまでの500分の1に縮小し、充電速度を最大120倍まで高めることに成功したものだ。
現在使われているリチウムバッテリーは、陽極材料にリチウム、マンガン、酸素から成る大きさ10マイクロメートルの粉末を使用する。陰極から出たリチウムイオンがこの粉末粒子を通って陽極に移動し、バッテリーが充電される仕組みだ。粉末を小さくすれば、粒子数が増えるため、充電速度が速まる。言い換えれば、車線を増やして、渋滞を解消する原理だ。しかし、粒子を小さくすると、粒子の密度が低くなり、電池の容量低下を招く欠点があった。
研究陣はリチウムバッテリーの陽極の粉末粒子を20ナノメートルまで小さくした上で、スクロース溶液を加えて加熱することで、問題を解決した。ナノ粒子は凝結して、マイクロメートル級の粒子のように変化し、既存のバッテリー並みの容量を確保できるようになった。また、ショ糖が焼けて生じた成分が粒子の表面をコーティングし、導電効率も高まった。
チョ教授らが開発したナノ粉末で充電池を製作したところ、わずか1分で完全充電が可能だった。中型の電気自動車ならば、時速50-60キロで約2時間走行可能だ。
チョ教授は「GMのボルトなどに使われる既存のバッテリーは充電に最低2時間かかる。急速充電が可能なナノ粉末は2年程度あれば量産が可能だ」と説明した。研究結果は、化学分野の学会誌『アンゲバンテ・ケミー国際版』(8日付)に掲載された。