■離於島と歴史歪曲問題
韓中間の対立は、法律や制度の違いによるものが少なくない。最近起きた金永煥氏への拷問事件が代表的だ。中国では人権は体制を維持するイデオロギーの下位に置かれる概念だ。しかし、世界的な大国に浮上した中国が外国人を不法に拘禁し、拷問までするというのは、いかなる理由でも弁解不能だ。韓中が対立する西海(黄海)での違法操業問題は、中国当局が違法であることを知りながら、漁船の操業を黙認していることが原因と指摘されている。東シナ海上の離於島(中国名・蘇岩礁)をめぐる領有権紛争、「東北工程」による歴史歪曲(わいきょく)も両国関係を悪化させる要因だ。離於島は韓国の排他的経済水域(EEZ)に属しているが、中国は今年3月、離於島を海洋監視船舶と航空機による定期パトロールの対象に公式に含め、領有権の主張を強めている。中国の中央政府、地方政府が進める東北工程は、統一後の領土問題にもつながりかねない。
■青瓦台とのホットライン開設を
誠信女子大のキム・フンギュ教授は、韓中間の対立を最小化するため、韓国大統領府(青瓦台)と中国の国務院外事弁公室(外交担当部門)との間にホットラインを開設する必要があると指摘した。外交、通商といった官庁レベルを超え、急な問題について、両国の首脳が意思疎通できるルートを設けるべきだとの意見だ。国家安保戦略研究所のパク・ビョングァン博士は「歴史的、伝統的に互いをよく知っていると考えがちだが、実際にはそうではない」と指摘する。自由民主主義体制が定着した韓国は、人権や自由を重視する。一方、中国は実用主義、国益などを強調する。外交通商部(省に相当)当局者は「韓中対立は北朝鮮問題を除けば、いずれも管理可能な変数だ。外交ホットラインを通じ、中国が韓国を無視する態度で韓国人の感情を刺激することを未然に防ぐ必要がある」と訴えた。
国防大安保問題研究所のキム・ヨルス所長は「中国は韓国が経済的利益を中国で得ながら、安全保障・政治問題では米国とばかり話をすることに不満がある」と指摘した。キム・フンギュ教授は「結局は『連米和中』(米国と連帯し、中国と和解すること)が必要だ」と述べた。