■日本の挑発と右傾化に失望
李大統領の独島訪問には、3つの要素が影響を与えたとされる。
まず日本が日本軍の性的奴隷(従軍慰安婦)問題の解決に誠意ある行動を取らず、防衛白書などを通じて独島の領有権を継続的に主張している点が李大統領に独島訪問を決心させたとされる。昨年12月に京都で行われた韓日首脳会談で、野田佳彦首相は、在韓日本大使館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像の撤去を求めた。李大統領はその時から独島訪問を検討していたとされる。日本の右傾化が進み、独島に対する領有権の主張が巧妙化する状況で、明確な主張を表明すべき時期が来たとの判断だ。
李明博政権は、韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の締結を目指したことで、野党から「第2の乙巳勒約(いっしろくやく・第2次日韓協約)を目指した親日政府」と批判された。独島訪問には「親日論争」を沈静化させる狙いがあったとの観測も聞かれる。
日本メディアは、李大統領の独島訪問の背景について、李相得(イ・サンドク)前国会副議長、大統領府の金禧中(キム・ヒジュン)前第1付属室長らが不正な資金を受け取ったとして逮捕され、支持率が低下した状況を打開する意図があったと分析した。
■日本への対応戦略急務
韓国国内の日本問題専門家は「李大統領の独島訪問は大統領として当然取るべき統治行為だが、外交的な得よりも損の方が大きい可能性もある」と述べた。
また、日本の独島に対する挑発が最高潮に達した際の切り札になる独島訪問が、「先制攻撃」のカードとなってしまったのは残念だという指摘もある。中央大の金浩燮(キム・ホソプ)教授(国際関係学)は「李大統領が任期末を迎え、支持率が低迷している状況で、支持率を稼ぐ方法として独島の訪問を実行したと受け取られるのは残念なことだ。独島訪問は独島の領有権をめぐり激しい対立が生じた際の切り札だ」と語った。
外交幹部は「実効支配を含む現状維持は、国民から拍手を得られなくても最善の政策だ。李大統領の独島訪問が日本の極右勢力を刺激し、国際司法裁判所に独島問題を提訴しようという動きが具体化するのではないかと懸念される。日本の次なる挑発に対応できる複数の細やかな対応戦略を準備すべき状況だ」と述べた。