韓国政府の関係者は16日「李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(日本名:竹島)訪問や、香港の活動家らの尖閣諸島(中国名:釣魚島)上陸に刺激された日本の右翼が、独島に不法上陸を試みる可能性は、これまで以上に高い」と語った。韓国政府は、こうした状況に備えて2005年に独島危機対応指針を制定し、毎年補強が行われているという。
韓国軍・海洋警察などが16日に明らかにしたところによると、右翼など日本の民間人が独島への上陸を試みた場合、海洋警察の艦艇や独島の警備隊員などが第一線で対応し、韓国軍は後方で支援の役割を果たすことになる。
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日本の右翼団体などを乗せた民間船が、12カイリ(約22キロ)ある独島の領海に接近した場合、海洋警察の警備艦が「独島偶発事態危機対応マニュアル」に従って緊急出動し「領海を侵犯したら拿捕(だほ)する」という警告放送を行うことになっている。独島危機対応指針には、日本の右翼による不法上陸など偶発事態を六つのケースに分け、対応法や手続きがシナリオ別に盛り込まれている。
警告放送にもかかわらず、日本の船が独島の領海を侵犯した場合、韓国側の警備艇が船体で体当たりし「押し出す」やり方で、独島への接近を妨害する作戦を展開する。韓国の海洋警察は排水量5000トン級の三峰、3000トン級の太平洋7号などを独島近海に配備しており、比較的大型の船にも対応できるという。
だが、こうした遮断作戦を展開したとしても、日本の右翼などが独島に上陸する可能性は排除できない。独島は、警備隊員が警戒勤務を行っている東島と、独島住民の宿舎がある西島を含め、大小91の島からなる。東島に唯一の船着き場があるが、波が高い日は、船着き場に船を待機させるのも困難だという。海洋警察の関係者は「暗礁も多く、日本の右翼団体の船が接近するのは難しいだろう。船で独島の近くまで接近した後、東島・西島以外の小さな岩に数十人が泳いで渡り、“日本の地を踏んだ”と主張することはあり得る」と語った。
右翼団体のメンバーが独島に上陸した場合は、独島の警備隊員らが不法侵入者を逮捕し、出入国管理法違反で強制送還するか、裁判にかける手続きを取る。
しかし、日本側の民間人が大型船で接近して大人数で上陸を試みる場合や、自衛隊の艦艇や航空機などが出動した場合には、海洋警察の警備艦や独島の警備隊員だけでは対応が困難なため、支援役の韓国軍が第一線で直接対応することになる。韓国軍当局はこうした状況に備え、90年代初めから「東方計画」と題する独島防衛の秘密計画を策定し、海洋警察と共に毎年2-3回ずつ「東方訓練」と呼ばれる独島防衛訓練を実施してきた。東方訓練には、韓国海軍の駆逐艦や哨戒艦、護衛艦、P3C海上哨戒機、韓国空軍のF15K・KF16戦闘機など海軍・空軍のほか、100人程度の海兵隊も参加している。