うさぎの名はマーブル

いろいろ、盛りだくさんでかきます。
どうそ、よろしくお願いします。


テーマ:
こんにちは、紫雀です。

当ブログにお越しくださいまして
誠にありがとうございます。
このブログには、常時のべ
100~500のアクセスがあります。

この数値は「米子北高転落事故裁判」を
載せるようになってから急激に伸びた数値であり
この話に対する関心の高さを伺わせるものであると
思っております。

私は、読者の皆さんを
陪審員だと思っております。

これからアップする話は事故当日の話です。
転落に見せかけた自殺ではないし、
誰かに突き落とされた事件でもありません。

大雑把に言って裁判の争点は
明子さん自身による自己責任なのか

学校管理化の中で起こった事故であり
文部科学省の「学校転落事故防止の留意点」
という通達を無視して事故の原因を作っ
た学校側の注意義務違反なのかという
二つにしぼられます。

この話のみを読みに来る方もいらっしゃる
でしょうから、簡単に事故までの内容を
整理しておきます。

〇寮の掃除は、入寮した生徒にさせていた。
〇生徒が居ない間に部屋を点検し、ランク付けして
 掃除を怠った生徒には厳しく指導していた。
〇窓に関しては、窓、網戸の清掃を禁じていなかった。
〇生徒に対して「窓掃除は危険」という指導は行っていない。
〇窓、網戸の掃除は業者に委託していない。
〇明子さんの部屋の網戸はちゃんと閉まっていない。
〇寮は築30年以上経過していて、網戸は老朽化しており
 虫が部屋に入り込んでくる状況だった。
〇窓際に作りつけの机、片方がはめ殺しの窓になっていた。
〇窓に転落防止用の手すりは設置されていない。

 
文部科学省の通達
「学校転落事故防止の留意点」について

児童生徒等への継続的な安全指導を行う事が重要

 経年劣化の進行等により安全性の低下している場合は
 すみやかに補修等適切な対応を行う事が重要

 細部に至るまで、十分な安全性を確保した計画・設計
 既存施設についても、点検を適切に行い必要に応じ
 すみやかに改善を行う事が重要

 必要に応じ窓面への手すりの設置、窓の開閉方式等について
 検討を行う事が重要

 窓下に足がかりとなるものを設置しないことが重要


6月23日(火曜日)
斜陽の残る落日

夕食を終えた明子さんは
友達と一緒に三階の自室に上がってきた。
仲のよいY子とM子だった。
雑談しながら、部屋に入ってきて

Y子はベットの上に腰かけ
M子は窓際の机を陣取り
部屋の中にあった雑誌のページを
ぱらぱらとめくっている。

窓は開け放してあったが
相変わらず蒸し暑い日だった。

窓には、網戸がついていたが
連日校庭でナイター練習が行われるため
光を求めてくる虫たちがライトに多く集まり
校庭のライトが消されると今度は
それらの虫たちが寮の窓めがけて殺到し
網戸には多くの虫がはりついて死んでいる。

もう限界だった。
第一、こんなに虫の死骸が網戸についていれば
風通しだって悪くなる。
窓を開けたって涼を得る効果が全くない。

まだ、ほんのりと空は明るい
ナイター練習までのわずかな時間に
網戸の掃除をしようと
明子さんは考えた。

窓掃除は入寮してから何度かやっていることだった。
M子に少しよけてもらい、机の上に体育座りをして

粘着式のゴミとりグッズを左手に持ち、
網戸にあててコロコロ転がし
虫取りをはじめた。

机は作りつけなので動かない。
窓の外に手すりはなかった。

手前の方は楽に虫が取れるのに
奥の方は手が届きにくく掃除しにくい。

『右側のはめ殺しの窓があけば
 もっと楽に掃除ができるのに』

明子さんはそう思った。
でも、まったく開かないのだから仕方ない。

危ないとわかっていても
この体制で掃除するしかない。

「ちょっとぉ、明子危ないよー」

雑誌から顔を上げてM子がいう。

「うん、平気、ちょっとだけ・・・
 ほんと、こっから、落ちたらしゃれにならないね」

そう答えた瞬間、
そんなに大きく身を乗り出していないのに、
体がぐらりと外側に傾いた。

慌てた。
バランスをとろうとして手が泳ぐ

何かにつかまらないと
そう思って慌てて網戸にしがみついた。

だが、網戸は人の体重を支えるほど
頑丈にできていなかった。

ガタリと音を立てて外れた。
しがみついた網戸と一緒に
体が落下していくのがわかる。

窓際に座っていたM子は異変に気がつき
とっさに窓枠から身を乗り出して
落下していく明子さんに手を伸ばした。
だが、遅かった。体の一部をつかんだが
つかみきれなかった。

地面に何かがたたきつけられる音
寮中に響き渡る悲鳴

物音を聞きつけて、墜落現場にかけつけてきた
寮監と寮生はその場に凍りついた。

落ちた網戸のそばに
倒れている明子さん

何が起こったのか明白だった。

我に返った寮監は明子さんに駆け寄った。
すぐ意識確認をしたが意識はない。
だが、まだ、かろうじて息はしているようだった。

明子さんのそばを離れず
傍に居た寮生に指示を出した。

「だれか早く、早く救急車を呼んで、今すぐ!!」

寮は騒然となった。


午後7時20分
仕事を終えて帰宅した田中さんの所に
一本の電話がかかってきた。

寮からだった。
寮監の慌てふためいた声

「お母さん、すぐに来て下さい。明子さんが
 網戸掃除していて三階から落ちました。」

めまいがした・・・
今、寮監はなんと言ったのか
明子が・・・テ・ン・ラ・ク??

呆然とした。
ただただ、ショックだった。 


続く












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看護実習は一日も休まず出席した。
もともと、勉強は嫌いではない。
むしろ辛いのは、寮や学校の生活の方だ。
実習で外部の人に触れることの方が
明子さんにはいい気晴らしなった。

気持ちの優しい娘だった。
だから、看護の仕事は天職ともいえる職業
職業選択は間違っていない。

間違っていたのは学校の選択だ。
友達と一緒に地元の高校に進学し
まともな看護学校に通っていればと
今更のように思う。

だが、高校生の場合
小学校や中学校のように
簡単に転校というわけにもいかなかった。

ここで頑張るしかない。
明子さんはそう思った。

6月21日(日曜日)
おかあさんに寮まで送ってもらった。

だが、寮についたときのタイミングが悪かった
自分をいじめていた岡山の生徒と
駐車場で鉢合わせしてしまったのだ。
むこうも車で送ってもらって来ていた。

車外へ出て、車中の母親と話をしている。

怖い・・・
自分の方が年上なのに、向こうは
下級生なのに、そんな事関係なく体が震える。
顔に怯えの表情が走る。

「うち あの子とは顔を合わせたくない。」

明子さんは言った。
おかあさんは頷くしかなかった。

ほんとうなら、向こうの親を
捕まえて文句の一つも言いたい所だったが
寮の中での、明子さんの立場が
今よりもっと悪くなるかもしれない
と思うと何もできなかった。

明子さんは、女生徒の姿が
見えなくなってからようやく車を降りた。

「臨床実習の時は朝がとても早いから
 食事を用意してもらえないんだ。
 おかあさん、一週間分の牛乳を買ってきて
 部屋で待っていてね」

言われた通り、牛乳を買い込んで
部屋に持って行くと今度はお風呂に入るという

言葉の最後はいつも
「待っていてね」だった。
帰ってほしくない。
まだまだ、そばにいてほしい。
言葉に無くとも、切ない程の
明子さんの気持ちが伝わってくる。

湿度の高い蒸し暑い日だった。
まだ、エアコンも入っていない。
窓は開け放してあったが
そんなものでしのげる熱さじゃなかった。

お風呂から上がってきた明子さんは
お母さんとの別れが名残おしそうだったが
やがて、言った。

「お母さん、もう、帰ってもいいよ。
 寮には自分を受け入れてくれない子や、
 影で悪口を言う子、挨拶しても無視する子もいて
 ストレスがたまって辛いけど、一週間我慢したら
 家に帰れる。それを楽しみに頑張るよ」

「・・・」

「お母さんが自分にとって
 一番大事な人だから 体に気をつけてね。」

それが最後の会話だった。
お母さんは辛かった。
こんな寮に、娘を残して家に帰ってもいいのか・・・
後ろ髪を引かれる思いで寮を後にした。






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土曜日と日曜日
寮から退出して家に帰ることができる。
明子さんにとって家は唯一の安らぎの空間だった。

あの意地悪な寮生と顔を合わせなくてすむ。
自分の悪口を聞かなくてすむ。

それに何より大好きなお母さんの傍にいられる。
落ち込んだ時、励ましのメールをくれるお母さん。
私の事、誰よりも心配してくれるお母さん

「自分はお母さんのそばにいると安心する」
そう言って、明子さんはお母さんの顔を見て微笑んだ。

でも、制約されたシンデレラのように
日曜の夜には、また学校の寮に戻らなくてはいけない。

憂鬱な月曜日がやってくる。
あの意地悪な寮生の顔がうかんだ。

5月31日日曜日の夜
その日、ついに寮に戻ることは出来なかった。
寮でのイジメは相変わらず続いていたのだ。

もう、学校をやめるかもしれない。
お母さんはそう思った。

でも翌日、明子さんは朝5時に起きてきて
学校に行くといったので急いで、したくし
高速を飛ばし学校に向かった。

「行きたくない」
車の中で、明子さんはつぶやいた。

もう、やめてもいい
お母さんはそう思った。
娘が寮でイジメにあっているのを知っている。
北高がどんな学校か知っている。
こんな学校辞めたってちっとも恥じゃないと思う。

でも、明子さんはやめるとは言わなかった。
ここでくじけたらいけない。
辛くても乗り越えないという思いの方がまさっていた。

6月1日
看護科の臨床実習が始まる。
明子さんが行きたくないはずの学校に行った
理由はこれだった。
休めば単位を落とされるのは目に見えている。

配属されたのは米子労災病院

実習中 たまたま病院を尋ねていた
看護科の部長先生にわからないことを質問した。
すると例の人を小バカにするような目つきで

「ほ~ら 休んでいたつけがまわってきたね。」

と言われた。
ショックだった、勉強は自分なりに
一生懸命頑張って来たつもりだった。
学校に行けない時期があったのは
学校の風紀が乱れていたからだ。

すんだ事をいちいちほじくり返し
嫌味をいう教員の言葉に明子さんは深く傷ついた。

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