2012-08-15
ネット断ちの途中ですが、あまりにゲンダイクオリティすぎるクソ記事を見たので書かざるを得ない
皆さまどうもお久しぶりです。
この間、自分がネット廃人をやめれるかどうかを確認すべくネット断ちを敢行しておりましたが、我慢できずに書きます。この間も、私の大好きな高橋先生の排中律の成り立たない２命題を使った「背理法」につっこみたかったりしていたのですが、みなさんがちゃんと突っ込んでくれていたので我慢することができました。
しかしこのゲンダイクオリティの記事に対するツッコミは期待できないと検索した感じで思いましたので、御用一般人としてはやはり書かざるを得ないかな、と。お盆休みで暇だし。予算書読む暇人は多分そんないないと思うので。
野田政権はやはりインチキだらけだ。１０日、発足から半年経った「復興庁」。東日本大震災の復興支援を目的に約１５兆円（１１年度）を計上しながら、４割に当たる約６兆円が使われず、うち１兆円を特別会計に繰り入れていたことが問題になった。驚くのは、特会に流れた後のカネの配分先だ。ナント、天下り法人にバラまかれていたのである。
「今国会に提出された『東日本大震災復興特別会計』の明細書に、繰り入れられた１兆円の使い道が記されています。ざっと挙げると、『沖縄教育振興事業費』に３１．５億円、『独法国際交流基金運営費』に約１．２億円、『独法酒類総合研究所運営費』に５７００万円――となっています。何のことはない。復興予算をシロアリ天下り法人の運営に充てるのです」（経済ジャーナリスト）
「国際交流基金」や「酒類総合研究所」はかつて、政府の事業仕分けの対象となり、運営交付金について「見直し（削減）」が求められた独法だ。その独法にシレッと復興予算を使うのだから開いた口がふさがらない。こんな暴走を許せば、復興予算は新たなシロアリ利権になってしまう。
だいたい、復興予算の財源は大半が増税分で賄われる。昨年１１月に成立した復興財源確保法では所得税を来年１月から２５年間、納税額に２．１％上乗せするほか、住民税を１４年６月から１０年間、一律年間１０００円徴収することになっている。「復興」目的で国民から吸い上げたカネで役人を肥え太らせるなんて言語道断である。
復興予算の問題を国会で追及した衆院議員の斎藤やすのり氏（新党きづな）がこう憤る。
「私は週末になると地元（宮城２区）に戻り、被災地を回っているのですが、小さな自治体では復興はまだまだ進んでいないのが現状です。中小企業からは（施設・設備の復旧費用を支援する）『グループ化補助金』を要望する声が強いのですが、その予算は行き渡っていません。それなのに１兆円余った――といって特会に繰り入れるなんてバカな話です。『シロアリ退治する』と言っていた野田首相が、シロアリにエサを与えているのだから許せませんよ」
全文引用しておきますが。
まず基礎知識として、繰り入れられた１兆円というのが何を意味するかですが、23年度予算の東日本大震災復興に関わる経費約15兆円のうち、5.9兆円が未執行となったため、そのうちの4.8兆円はその費目のまま翌年度(24年度)に繰り越し、1.1兆円分を費目を変えた、という意味です。１兆円が天下り法人に流れている！と受け取って憤慨している人があまりに多いのでビビっているのですが。
そして、費目を変えた1.1兆円は一旦東日本大震災復興特別会計に繰り入れられています。その内訳は、復興特別増税が5500億、他会計からの繰入が5500億円です。東日本大震災復興特別会計は、東日本大震災の復興に関わる予算の透明化を図るために分離されているので、その使途は東日本大震災復興に関わるものになっています。特別会計に繰り入れるというのは、財布、会計簿を分ける、という意味でわかりやすくなっているのですが、一般的に特別会計は悪の権化、埋蔵金の温床と捉えられているので、こういう記事が出るのでしょう。24年度から始まった東日本大震災復興特別会計は初年度予算3.77兆円というなかなか大きい予算です。
さて上記記事中でシロアリ天下り法人に流れた、として例示されている金額が、総予算3.77兆円に比してあまりに小さいのがわかるかと思いますが、合計して33.2億円です。まぁこの時点でゲンダイ記者の苦労がしのばれるわけですが、東日本大震災復興特別会計の明細書(pdf)を見てみるとしましょう。以下復興特会と書きます。
復興特会の歳出項目のうち、最大の受け手は復興庁で、その総予算3.77兆円のうち、2.04兆円を引き受けています。その中で、主な大きな歳出項目を上げると、復興庁30環境保全復興政策費が約8000億円で最大となっています。これは放射性物質の除去事業、並びに放射性廃棄物の処理、管理にかかる費用のことです。これはまぁ純然たる復興予算ですよね。次に大きなのは地方公共団体への交付金約2800億円でしょうかね。まぁこれもヒモが付いてない金を地方公共団体に渡すのは、常識的な予算ではないですか？こうやって大きな予算項目を見ていくと、まぁこれが、見事にというか、復興特会である以上当たり前なんですが、震災復興に関わる予算なんですね。だからゲンダイの記者は３１．５億円なんていうしょっぼい費目をあげつらうしかなかったのでしょう。
ではこの沖縄教育振興事業の３１．５億円が一体何か、というのを見てみましょうか。東日本大震災でなんで沖縄？と思う方も多いでしょうから。沖縄関連の予算というのは、沖縄返還以降の伝統で、他の都道府県とは異なり、別の予算枠が国の予算内に設けられています。沖縄開発庁が国務大臣であった時代を思い起こせば、沖縄関連予算に別の費目がつくことは想像に難くないと思います。この沖縄教育振興事業の復興特会における費目の区分は「学校施設環境改善交付金」となっています。平成24年度特別会計予算を細かく見ると、その使途が詳しく説明されています。
大震災の教訓を踏まえた国づくりの推進を図るため地方公共団体が施行する公立学校施設の耐震改修に要する経費に充てるための地方公共団体に対する交付金の交付
p776
とありますように、これは公立学校施設の耐震改修工事費用であることがわかります。沖縄の31.5億円の他にも、全国の公立学校施設に667億円、国立大学にも435億円が交付されています。
「自民党時代の耐震化公共事業を廃止した民主党はキチガイ」みたいなことを言いながら、沖縄の公立学校施設の耐震改修工事費用への支出をシロアリ天下り法人へのシロアリ利権とかのたまう方々のリテラシーがちゃんちゃらおかしいですね。
次に(独）国際交流基金への１．２億円ですが、これが選ばれたのはひとえに事業仕分けの対象であったというところが元なんでしょうが、実施主体と事業の是非は別に考えるべきでしょうな。私個人としましては事業仕分けなんかクソヘラほどの役にも立たなかったと思っておるタチですが、せめて非難は実施事業内容についてにしてあげて欲しいものです。国際交流基金が受託事業として行なっている東日本大震災復興関連事業の内容はこちらに書かれているように、アメリカの高校生1000名を東北に招聘してボランティアに従事してもらったり、被災地の日本人高校生、大学生をアメリカに派遣して、東日本大震災復興の現状について交流を持ってもらうなどの、まぁ１．２億の事業としてはまっとうなものではないですかね。もちろん、そんなものはムダだ、という指摘はどんどんしていただけばいいと思いますがね。全体予算の0.003%ほどですがね。
酒類総合研究所の事業についても同様ですが、この5700万円(この予算をあげつらう意味を教えて欲しいが)の使途も特別会計の資料に書かれています。
地域経済活動の再生を図るため独立行政法人酒類総合研究所の行う酒類等に関する放射性物資の分析業務の財源の一部に充てるための同研究所に対する運営費交付金の交付
額から考えて放射性物質の分析機械の購入費用でしょうね。多分。これも、酒類の放射性物質なんか民間が勝手に測ればいいんだから酒類総合研究所に行わせる必要はない、みたいな指摘だったらわかりますけどね。国税庁からの依頼業務が計上されているので、それに対応するための購入だとは思いますが、国税庁がいわば傘下の酒類総合研究所に頼まないで、全部外注したほうが安く上がったんじゃないか？みたいな指摘だったらわかりますがね。
新党きずなの斎藤氏が言う「地方公共団体に金が回ってない」というのはまぁ多分ある程度事実ですが、地方公共団体への交付金として2800億円が計上されているのもまぁ事実でありまして、１兆円余ってるのをシロアリが食ったみたいに捉えるのはとっても恥ずかしいことなんじゃないかと私なんかは思うんですよ。御用一般人ですけどね。
まぁこんな感じですわ。
全然話変わるけど、SNS断ちすれば生産性上がるかと思ったけど、書かないだけで、ニュース記事とかは結局読んじゃうので、そこまでの効果は見られませんなぁ。でもまぁ少しは集中できる部分もありますけど。
追記：twitterで復興予算とか天下り法人とかで検索すると釣れてるわ釣れてるわ、正しく大漁ですわ。
ゲンダイの見出しをアルファルファとかハム速とかが１兆円が天下り法人に流れている、と読めるタイトルに直してはてな民、ツイッター民揃って釣られるっていういつものあれですね。
【ありがとう民主党】余った復興予算のうち１兆円を天下り法人に分配してた！
野田政権によって復興予算１兆円が天下り法人に流れている事が明らかに
- 2012-08-16 アドリーナは海の底で。 6/72 8%