巨人自慢の打線が機能し「セ界のV本命」がようやく本来の力を発揮してきたようだが、4月22日に2度目の5連敗を喫して以降、〝急変〟した理由は一体何だったのか。その裏には、原辰徳監督(53)の〝旧清武派〟への歩み寄りがあったという。
「4月22日に、ヤクルトに負けて5連敗になった後でしょうかね。これまで岡崎ヘッドコーチを介して、情報やデータを伝えていた橋上コーチのもとに、監督自ら『あれはどうなっているの?』って感じで話しかけてきたんです。負けに負けていたので、もうワラにもすがる気持ちだったんでしょうけど驚きましたよ」
チーム関係者が驚くのも無理はない。そもそも橋上戦略コーチは、清武英利前代表兼GM(61)が「データに重きを置いた野球をしたい」と新設した「戦略室」のトップ格。そこに前代表と〝因縁の間柄〟だった原監督が近づくわけがないと言われていたからだ。
原監督と清武氏の因縁は深刻で、清武氏は情報を原監督に伝えず、外国人選手を獲得したことを原監督が新聞紙上で初めて知るという事態にまで発展。橋上コーチを招聘することも伝えられていなかった。
結局、清武氏は昨年11月に勃発した「内部告発問題」で解任されたものの、すでに決定していた「戦略室」設立と橋上コーチの就任はそのまま。こういった経緯もあり、チーム内からはすでに「もともと監督の要望で呼んだ人じゃないわけだし、仮に橋上さんが何かアドバイスしたところで監督は絶対聞く耳は持たないだろう」の声が続出。「形骸化するだろう」の声がもっぱらだった。
とんだ「とばっちり」を受けた橋上コーチだったが、自分の置かれた立場は十分承知していた。
「『自分の居場所はないと思っている。地道にやっていく』と黙々と仕事をしていた。岡崎ヘッドコーチは、そんな橋上コーチを思いやって『まず自分に言ってくれれば、各所に伝達しておくから』と他のコーチへ角が立たないように配慮していた」(球団関係者)という。しかし、シーズンが始まってみれば、村田を加え厚みの増したはずの打線はさっぱり。原監督も頭を悩ませる事態となった。打開策も見いだせず2度目の5連敗を喫した時、指揮官みずから重い腰を上げ〝歩み寄り〟を見せたわけだ。
結果、チームが息を吹き返したことで、現在では原監督、岡崎ヘッドと橋上コーチの3人で、相手投手のデータや配球の傾向、狙い球などを確認するミーティングを試合直前に行うまでになったという。
橋上コーチはこの件について多くを語らないが、今の巨人を支えているのは事実。意固地にならず、聞く耳を持つことにした原監督の〝大英断〟といったところか。