杉内成長の裏に小久保の教え
2012年08月17日 12時00分
巨人は16日、中日に延長11回サヨナラ負けを喫し、優勝マジック点灯を逃した。チームは敗れたものの、先発の杉内は8回無失点と見事な投球を見せた。
杉内の投球には気持ちが入っていた。勝てば優勝マジックが点灯する節目のゲーム。今季FAで入団した背番号18が、自らの左腕で点灯させるという意義を誰よりも理解している杉内の、気迫の投球だった。
小気味のいい投球。すべては先日今季限りの引退を表明した小久保から学んだ“教訓”からだった。小久保には「プロ1、2年目のときは本当によく怒られました」。怒られると同時に、さまざまなことを教えてもらった。そのなかで今でも心に刻み込んでいるのが「投手がゲームを作る意味」についてだ。
「ある試合で(内野手が)マウンドに集まったとき、小久保さんに『みんな守っているんだぞ』といわれました。当時はボール球を投げることも多く球数も多かった。自分のことだけではなく、戦い全体のことを考えろということだと受け取りました」。野球は投手だけでやっているわけではない。投球のテンポが悪ければ、守りのリズムが悪くなり、それが攻撃にも影響する。「投手が試合を支配する」と言われる意味を教わった。 阿部とバッテリーを組む時に最初に言ったことが「ボール球は投げたくない」。無駄なボールを投げず、テンポ良くイニングを進めるスタイルは、小久保のこうした叱咤が原点だといっていい。
“小久保イズム”で8回を無失点で投げぬいた杉内。この日は打線が中田賢を攻略できず勝利投手にはなれなかったが、背番号18の熱投は、巨人ナインの今後の戦いに気合を注入したに違いない。