12日夜に行われたロンドン五輪閉会式のオープニングは、ロンドンの朝のラッシュアワーの光景だった。目を引いたのは、ありとあらゆるものを、新聞紙で包んだような演出だった。
ステージ中央に置かれた国会議事堂の大時計ビッグベンやタワーブリッジなど、街のシンボルのミニチュアから、行き交う車、足早に会社に向かうビジネスマンの服装までも……。その記事や見出しは、センセーショナルな内容ではなく、英国の古典文学作品から引用していた。
ロンドンの地下鉄では、通勤客らが各駅に置いているフリーペーパーを車内で読む姿が、毎朝見られる。
インディペンデント紙は「ロンドンのありふれた朝」を描こうとした演出担当のキム・ガビン氏が、そうした光景に着目したのだろう、と論評した。
デーリー・メール(電子版)は「文芸作品の遺産とジャーナリズムの伝統で知られる英国らしさを示す演出だった」と書いた。