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政治
【産経抄】8月17日
2012.8.17 03:02
[産経抄]
日本には世界的にみて、ユニークな点が多々ある。そのひとつが、「『国土=民族=言語』がほぼ一致している状況」だと、『知らなかった! 日本語の歴史』(東京書籍)で、教えられた。
▼確かに日本の国土では、どこでも日本語が通じる。ロシアと韓国に不法占拠されている北方領土や竹島といった例外は、あるにしてもだ。当たり前すぎて、「国際的にみてそれがいかに稀有(けう)で幸運な状況であるかということをまったく意識していません」と、著者の浅川哲也さんは指摘する。
▼領土や歴史問題をめぐり、このところ日本への挑発活動をエスカレートさせている近隣国をみれば、納得できる。人口13億人を超える中国は本来、多民族、多言語国家でありながら、政府は漢族文化の押しつけ政策に余念がない。逆に朝鮮半島では、ひとつの民族が1945年以来分断されて、軍事的緊張が今も続いている。
▼沖縄本島の西約400キロに位置する尖閣諸島は、明治28(1895)年にわが国の領土に編入された。昭和15年ごろに無人島になるまで、最盛期には100人を超える日本人が、かつお節工場などで働いていたそうだ。
▼そのなかの最大の島、魚釣島に15日、抗議船で日本の領海に侵入した香港の活動家ら14人のうち、7人が不法上陸を果たした。沖縄県警の警察官や海上保安官、入管職員らが待ち構えていなかったら、中国語の歓声はやむことがなかったろう。
▼今回の上陸劇は、民間人を装った民兵が武装化した漁業監視船に守られて島を占領する、中国側の「予行演習」との見方がある。将来の自衛隊駐留を見据えた対策強化を急がないと、尖閣諸島もまた、「日本語の通じない」領土になりかねない。
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