シャープ株が大幅安、資金繰り懸念でドイツ証券格下げ-東京市場
8月15日(ブルームバーグ):シャープ株が大幅安。14日にドイツ証券が資金繰り懸念などから投資判断を引き下げたことに加え、ゴールドマン・サックス証券も目標株価を下げた。財務悪化懸念があらためて高まり、売りが膨らみ、午後一段安の展開となっている。
株価は3日続落し、午後の取引で前日比27円(14%)安の166円となり、ブルームバーグ・データで把握可能な1974年9月以来の安値を付けた。午後2時43分現在、167円の水準で株が取引されている。日経平均採用銘柄の中で下落率1位。また、東証1部市場で出来高1位となっている。
シャープは3月、台湾の鴻海精密工業と資本・業務提携に合意。鴻海がグループで9.9%を来年3月までに出資し、新株を1株当たり550円で引き受けることになっていた。しかし、シャープ株が大幅に下落したため、鴻海が3日夜、引き受け価格を見直す方針を発表。事業立て直しのほか、資金繰りも焦点となっている。
ドイツ証券の中根康夫アナリストは14日付リポートで、シャープの投資判断について、「ホールド」から「売り」に引き下げた。「短期的には資金繰り、中長期的には事業戦略に課題」と指摘。6月末時点で約3600億円に達しているコマーシャルペーパー(CP)償還に伴い膨大な短期資金が必要になるが、主要銀行が支援するとの前提で見た場合、抜本的な事業計画の見直しを迫られ、想定以上の損失を計上するリスクがあると指摘した。
ゴールドマンの渡辺崇アナリストは同日付リポートで、CPなどをシニアローンで借り換えたと仮定し、業績を見直した結果、目標株価を70円引き下げ190円とした。ただ、今後の増資や劣後債の発行といった資金調達スキーム次第では下値余地が生じる可能性も指摘している。
スタッツ・インベストメントマネジメントの大木昌光シニア・ファンドマネージャーは、シャープの財務リスクに対する投資家の疑念が深まっており、リスクを考えた場合、「株価純資産倍率(PBR)などの指標もあてにならず株価は100円程度まで下がる可能性がある」と指摘した。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小笹俊一 sozasa@bloomberg.net
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更新日時: 2012/08/15 14:44 JST