【社説】独島・慰安婦問題で行き詰まる韓日両国の未来

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は光復節(日本による支配からの解放を記念する日、8月15日)記念行事での演説で「日本軍慰安婦被害者問題は、戦時中における女性の人権問題として、人類の普遍的価値に反する行為であり、日本の責任ある措置を求める」と述べ「日本は体制的価値を共有する友邦であり、共に未来を切り開いていく重要なパートナーだが、歴史に関する問題が未来に向けた歩みを遅らせている」と主張した。

 李大統領は前日の14日には韓国教員大学で講演し、独島(竹島)を訪問した背景について説明。その中で李大統領は「(日本の王が)韓国を訪問したければ、独立運動を行って犠牲となった方たちを訪問し、心から謝罪してほしい。“痛惜の念”などといった言葉を探し出してくるだけなら、来る必要はない」と述べた。日本政府は李大統領によるこれら一連の発言に抗議し、野田首相も遺憾の意を表明した。

 国家間の懸案の中には、すぐに明確な解決作を見いだせないこともあるが、当事国が誠意をもって努力すれば、意外と簡単に解決できる問題もある。日本が誠意を示しさえすれば、解決できるはずであるにもかかわらず、そうしないのが独島と従軍慰安婦問題だ。

 日本は1951年に締結されたサンフランシスコ講和条約において、独島が日本によって放棄されるべき韓国領土として明記されなかったことを理由に、独島を自国の領土と主張してきた。日本は日露戦争末期の1905年2月、東海(日本海)で戦争を有利に導くため独島を強制編入し、同年5月に戦争で勝利すると、ただちに韓国併合に取り掛かった。日本が韓国に対する植民支配を心から反省するのであれば、隣国を侵略した時代の遺産である独島について、根拠のない主張からまずはやめなければならない。ところが日本は8年前から自国の『防衛白書』に「竹島は日本の領土」と明記し、これが8年も続いている。また教科書にも同じ内容の記載を進めてきた。

 日本の指導者たちも、自国民を説得するリーダーシップが発揮できない状態では、たとえ独島が韓国領土であることを認めたくても、そうすることはできないだろう。しかし日本の指導者にもしまだ良識が生きているのであれば、独島問題に対する行き過ぎた言動を自制するよう、国内の雰囲気を導くことができるはずだ。しかし日本はその程度の自制心さえ発揮せず、事態を逆の方向に導いてきた。

 従軍慰安婦問題は世界が日本の良識を評価する物差しであり、その気になればすぐにでも解決できる問題だ。ところが大韓民国の大統領がこの問題で誠意のある解決を求めると、日本の首相はそれに対する明確な回答はしなかった。さらにそれに加え日本は、韓国の市民団体が駐韓日本大使館前に設置した平和の碑を撤去することまで求めてきた。この平和の碑は、市民団体が慰安婦問題に対する日本政府の誠意なき対応に抗議する意味合いで建てられたものだ。これでは両国首脳による対話がまともに実現するはずなどない。

 韓日間の外交で緊張が高まっている背景には、日本がやるべき、あるいはできるはずのことをやらなかったことに対する韓国民の不満がある。日本はまずこのことから理解しなければならない。これは韓国人だけではなく、ここ100年にわたり日本と共に生きてきたアジアの人たちが共通して感じていることだ。

 韓国政府も「言いたいことを言うだけが外交」だと単純に考えていてはならない。国家間の関係は言葉でいきつくところまでいってしまうと外交は終わりで、今度は外に向かう物理的紛争が始まる。独島問題については実効支配を着々と進め、従軍慰安婦問題は国際世論の支持を受けながら、日本がこちらの要求を最大限受け入れる以外にないよう、韓国政府は今後も国際政治の次元で努力を重ねていかねばならない。

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