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政治
【尖閣上陸】予定調和の政府対応、中国側とも事前調整 強制送還ありきのシナリオ濃厚
政府が沖縄県・尖閣諸島に不法上陸した香港の活動家らを強制送還するのは、日中間の摩擦拡大を抑えたい思惑からだ。身柄を地検に送検する必要がある公務執行妨害容疑の適用を意図的に回避した疑いも浮上し、政府が「強制送還ありき」のシナリオを描いていた疑いが濃厚だ。外務省幹部も事前に中国側と事態収拾策を綿密に協議。日本の主権そのものが侵された事態にも、政府は「予定調和」的な対応に終始した。(半沢尚久、杉本康士)
「巡視船にレンガを投げたのになぜ公務執行妨害容疑で逮捕しなかったのか」
16日に開かれた自民党の外交部会・領土に関する特命委員会の合同会議では、海上保安庁の対応を疑問視する声が相次いだ。活動家らの逮捕容疑が入管難民法違反(不法上陸・入国)だけだったためだ。
活動家らは尖閣諸島の魚釣島に上陸する直前、第11管区海上保安本部の巡視船にレンガのようなものを投げつけていた。海保の秋本茂雄・警備救難部管理課長も同会議で「何らかのものを投げつけられたのは事実だ」と認めた。公務執行妨害容疑を適用することも可能だったとみられるが、この容疑が加われば身柄の扱いは大きく異なる。
入管法65条は不法入国した容疑者に他の犯罪の容疑がない場合に限り、ただちに入国管理当局に身柄を引き渡して強制送還に向けた手続きに入ることができると規定している。逆に言えば、公務執行妨害という別の容疑があればこの例外規定は当てはまらない。
つまり、沖縄県警と海保が公務執行妨害容疑を適用しなかったのは、迅速な強制送還を前提に対処した疑いがある。警察庁幹部は「『手心を加える』とはこういうことだ」と断じる。中国人船長を公務執行妨害容疑で逮捕しながら、外交的配慮を理由に処分保留で釈放した一昨年の漁船衝突事件をめぐる対応と同じような不可解さが拭えない。
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