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「人と人とのつながりをデザインする」というコンセプトのもと、これまで、「2005年愛知万博」や「横浜開港150周年記念・Y150」など、様々なイベントのプロデュースを手がけてきた小川巧記さん。
小川さんにとって東海大学での4年間はどのような意味を持つのか、学生時代の思い出と、クリエイティブな仕事にかける想いを語っていただいた。
コンセプト・ディレクター/クリエイティブディレクターとして、数々のイベントを手がける小川巧記さん。2005年の「愛・地球博」や、今年開催された横浜開港150周年記念テーマイベント「Y150」では、“市民参加”をキーワードに、新しい博覧会の在り方を提案した。
そんな小川さんが大学時代に熱中したのが映画制作だ。1年次から自主ゼミを立ち上げ、仲間とともに様々なアニメーションの作品づくりにチャレンジした。このゼミを担当したのが、恩師である伊佐雄治先生。「『手を使うだけがデザインではない』という先生の言葉はとても印象的でした」と小川さん。先生から、あらゆるものがデザインできることを教えられ、デザインに対する興味が広がっていったという。
特に大きな契機となったのが、先生たちの勧めで参加したICSID世界デザイン会議だった。
「世界デザイン会議には、世界中から一流の才能が集います。シンポジウムでは名だたるデザイナーと出会うことができ、大いに刺激を受けました。空間や音楽などの演出にも趣向が凝らされていて、イベントの凄さを知ったのもこの時です」。
小川さんは、大学の授業からも多くのことを吸収したという。特に、1〜2年次のうちにデザイン関連の科目を幅広く学んだことが、後のキャリアの礎になったと話す。「東海大学は当時からカリキュラムの幅が広く、工芸、建築、プロダクト、グラフィック、企画立案など、デザインに関わるあらゆる科目を学ぶことができました。そして今、私が手がけるイベントや博覧会は、あらゆるデザイン的要素を含む総合的な芸術空間。大学で多様なデザインや芸術表現に触れたことは、現在の私の糧になっていると思います」。
卒業後の小川さんは、TV番組の制作会社を経て、28歳の時に大学時代の仲間とともに広告会社を設立。以後、一貫して「コンセプトの段階からものごとを創り上げる」ことにこだわってきた。1987年に独立し、ビッグバン・ハウス株式会社を興したのも、「企画主体のビジネスを手がけたい」と考えたからだ。
ビッグバン・ハウスの主力事業は、イベントや博覧会の企画・制作・運営。中でも近年は、シニアの社会参加の企画に力を入れている。その狙いを、小川さんはこう説明する。「私が目指しているのは、団塊の世代が高齢になったときに、彼らを受け入れる文化の枠組みをつくること。その中で、あらゆる世代が学び、交流できるよう、市民参加型のイベントや博覧会は、そのプラットフォームだと考えています」。
そうした想いが形になったのが、2005年の「愛・地球博」であり、今回の「Y150」だ。いずれも市民スタッフが中心となって様々なシンポジウムや展示を企画し、イベントを盛り上げた。さらに、こうした取り組みを通して生まれた“人と人とのつながり”は、イベントが終了した後もずっと続いていくと小川さんは話す。「Y150では150以上もの市民創発プロジェクトが誕生しましたが、このムーブメントは今後も人々の間に文化として根付き、地域の力となっていくでしょう」。
国や企業ではなく、市民自身が参加してデザインする博覧会。その跡地には、建物ではなく人とムーブメントが残る。小川さんは「今後もこうしたイベントを通して、人と人とのつながりをデザインしていきたい」と、夢を語ってくれた。
小川巧記(おがわ たくのり)
ビッグバン・ハウス株式会社代表取締役CEO
コンセプト・ディレクター/クリエイティブディレクター
1954年東京都目黒区生まれ。東海大学教養学部芸術学科産業芸術専攻(当時)を卒業後、NHKアートに入社。1982年に広告の企画・制作を行う株式会社ステューディオ・オルガオを大学の友人らと立ち上げ、1987年にはビッグバン・ハウス株式会社を設立。
広告や博覧会などを通して、市民・企業・行政を結ぶコミュニケーションプランニングを行っている。2005年の愛知万博「愛・地球博」では市民参加事業プロデューサー、2009年の横浜開港150周年記念テーマイベント「Y150」では総合プロデューサーを務める。
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