独島訪問:日本より12時間以上遅れた国内報道

大統領府、9日に「報道禁止」要請
日本は事前に知り電話で問い合わせ
9日夜に日本メディアが最初に報道

 大統領府の朴正河(パク・チョンハ)報道官は9日午後3時ごろ、予告なしに記者室に現れた。そして李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(日本名:竹島)訪問計画を告げ、李大統領が大統領府に戻る予定の10日午後6時まで「エンバーゴ(ある時点まで報道を禁止する報道規制の一種)」を要請した。特に、日本政府や日本のメディアに知られないよう「セキュリティー保護」を繰り返し強調し、「もし(韓国メディアを通じ)外信で報道されることがあれば、出どころを突き止め懲戒処分を求める」とも述べた。

 ところが、この直後に在韓国日本大使館やソウル駐在の日本人特派員から韓国の関係部処(省庁)に「李大統領の竹島訪問計画は事実なのか」と問い合わせの電話がかかってきた。日本外務省は9日午後5時ごろに独島訪問計画を確認したと説明している。大統領府報道官のエンバーゴ指示から2時間後には日本大使館を経て、外務省本庁にまで報告されていたということだ。

 日本政府が李大統領の独島訪問の可能性に備えていた状況も随所で確認されている。日本外務省は8日、韓国外交白書の独島表記を初めて問題視した。先月初めに発行された外交白書の内容について1カ月後に抗議したのだ。また、日本のメディアは9日、武藤正敏駐韓国大使が近く交代すると報じた。武藤大使は10日、「訪問の可能性があることは(既に)知っていた」と述べた。

 9日午後10時31分に日本の共同通信が最初に大統領の独島訪問計画を報道したのに続き、日本の新聞各紙は10日付朝刊の1面で報じた。右派傾向が強いことで知られる産経新聞は1面トップ記事で大々的に報じた。その後、共同通信は10日午前0時37分に英文記事を世界に向け配信した。大統領府は「日本のメディアが報道したと知ったのは午前0時37分の英文記事を読んだ時だった。深夜だったため、韓国メディアと報道解禁時間の調整について話し合うことができなかった」としている。

 大統領府の崔今洛(チェ・グムラク)広報首席秘書官は10日午前8時10分ごろ、春秋館(大統領府プレスセンター)を訪れ、各メディアの記者たちと報道解禁時間について再度話し合い、これに基づき韓国メディアは午前10時からこのニュースを一斉に報じた。日本メディアに遅れること12時間以上、世界中で韓国国民だけが李大統領の独島訪問のニュースを全く知らなかったことになる。また、一部では共同通信が9日夜10時31分に第一報を報じてから2時間もの間、大統領府が報道そのものさえ知らなかったというのも理解しがたいと批判の声が上がっている。

 韓国メディアが大統領府のエンバーゴ規制要求を受け入れたのは、大統領の日程について警護の観点から事前に報道しないという慣行に従ったためだ。メディア関連の専門学者らは「既に外国メディアが報道していた状況で、大統領府がその事実を把握していなかったとしたら無能だということ。たとえ知っていたとしても、韓国メディアに対し取材制限措置を盾にエンバーゴ指示に従うよう強要したのなら大統領府の硬直性がうかがえる」と批判している。

 さらに、専門学者らは大統領府の間違った要求をそのまま受け入れた報道機関も問題だと指摘している。

アン・ヨンヒョン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース