アジア・大平洋戦争の終結から67年を迎えた。戦争の悲惨さを語り継ぎ、平和を築く取り組みの大切さをかみしめねばならない。
だが、日本の平和憲法に背を向けて先送りしてきた課題が噴き出し、国民不在の政治、対米従属外交の深化も相まって、ことしの節目の日はきな臭さが漂う。
沖縄では、米軍普天間飛行場への海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備問題が、県民に危険を及ぼす切迫した問題として影を落としている。
「平成の黒船」
オスプレイ問題は「平成の黒船」の様相を呈してはいまいか。
日米安保体制は、沖縄に過重な米軍基地を押し付ける不平等、不公正な政治により成り立ってきた。
今回は、オスプレイが全国各地で低空飛行訓練を実施する計画が表面化し、危険機種配備に対する危機感が現実のものとなって、国民の反対が瞬く間に強まった。
自国民の安全を二の次にして米国の意向に従う政府の姿勢を厳しく批判する世論の台頭である。
戦争の負の遺産といえる沖縄への基地集中の弊害をただす方向に作用させるためにも、沖縄から、本土から配備阻止に向けたうねりを強めたい。
それは米国一辺倒の思考から脱し、不戦を実践する新たな足取りと言っていいだろう。
終戦の日を前に、韓国の李明博大統領が日本政府の強い中止要請を押し切り、竹島への上陸を、歴代大統領で初めて強行した。
実弟の逮捕など、醜聞にまみれる中、李大統領が竹島問題を利用し、権力基盤強化を狙ったとの見方もあるが、「従軍慰安婦」問題をめぐり、日本に補償を求める国内世論の高まりを反映した動きだろう。
一方、尖閣諸島をめぐる中国と日本の対立も解けない。石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島の購入を表明し、慌てた政府は国有化する方針を掲げて追随した。
中国は神経をとがらせ、領海侵犯寸前の挑発的行為を繰り返している。日中国交40周年の祝賀と友好ムードはすっかりかすんだ。
ロシアのメドベージェフ首相も7月に北方領土の国後島を訪れ、自国の領土と主張し、対日関係が悪化している。
領土ナショナリズムをあおり、政治的に利用することは外交関係をこじらせるだけであり、韓中露の3国には強く自制を求めたい。日本国内でも偏狭な排外主義的な空気が強まることに警戒が必要だ。日本政府は外交による平和的解決の基本線を崩してはならない。
国民主権に反する
懸念される事態が続いている。
政府は憲法理念と密接な武器三原則を大幅緩和し、英国と共同開発に乗り出す姿勢を見せている。
武器禁輸は、戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法9条を具現化し、平和外交の根幹を支える理念だ。それをかなぐり捨てるのか。
また、原子力基本法の一部改正に際し、その目的にこっそり「安全保障に資する」との文言を加え、軍事転用に含みを残した。
さらに野田首相は7月、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈に関し「さまざまなレベルで議論されるべきだ」と、議論を加速すべきだと発言した。
こうした動きに対し国会の論議も、国民的議論もほとんどない。日本が進めてきた平和外交と矛盾し、国民主権にも反する。
自民党政権時に民主党が反対していた安保に関する政策を逆に強化した形で実行に移す動きは危う過ぎる。
米国のアジア戦略の拠点を担い続けた日本は、「慰安婦」問題など、近隣諸国との歴史問題を決着させてこなかった。今、最難関の領土問題に直面する中、これ以上軍事的動きに傾斜してはならない。
ぎすぎすした近隣諸国との関係を改善し、真の平和構築を目指すには、国際社会での役割を見つめ直し、不戦を誓う平和憲法の理念に立ち返ることが欠かせない。
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