'12/8/15
竹島問題、情報共有に不備
日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島=トクト)に韓国の李明博(イミョンバク)大統領が上陸した問題で、政府が韓国側から入手した情報が一向に島根県に伝えられない事態が生じた。有事の対応の遅れを招く可能性があり、情報共有体制の不備を浮き彫りにした格好だ。
「まだ事実関係が確認できていない」。李大統領の上陸前日の9日夜、竹島問題を担当する島根県総務課の担当者は上陸方針への受け止めを聞く中国新聞の取材にこう応じた。溝口善兵衛知事への情報伝達も「確認ができた後にやる」と述べるにとどめた。
しかし、このとき外務省は上陸情報をつかみ、同日夕には在日韓国大使館に中止を要請していた。県が上陸情報を入手したのは、翌10日の午前7時半。外務省の担当課へ架けた電話からだった。さらに、午後の上陸後にも外務省からの連絡はなかったという。
県によると、担当者同士は互いの部署の固定電話の連絡先しか把握していない。韓国与党の幹部が竹島入りした6月にも、県は韓国政府の公式ホームページで事実を確認するしかなかったという。
竹島は国が島根県の領土と定めている。その権利を侵す韓国側の行動は緊急事態といえ、県は迅速な対応が必要だと認める。「外交交渉だけに全てオープンとはいかなくても、最低限の情報を伝えてほしいのが本音」。総務課の小室僚課長は話す。
溝口知事は10日、情報共有の重要性を認めた上で「必要な連携はスムーズにしたい」と述べたが、具体的な解決策は示さなかった。外務省の担当課、北東アジア課の深堀亮首席事務官は「意図的に情報を隠したわけではなく手が回らなかった。今後は連携を密にしたい」と話している。