日本の2回連続優勝で幕を閉じたWBC、今回は、なぜ「本命」アメリカが弱かったのか、その理由について論じる。
まず、第一の理由は、アメリカの選手・ファンにとって、WBCは「何が何でも勝たなければならない」イベントではなかったことにある。では、当地の選手・ファンにとって一番大切な目標は何かというと、「所属(あるいは贔屓)チームのプレーオフ進出、しいてはワールドシリーズ優勝」であるのは言うまでもない。
もし、WBCに出場することがプレーオフ進出・ワールドシリーズ優勝という最大の目標を達成することの助けになるのであれば、選手もファンももっと熱心になるはずなのだが、現実は、まったく正反対に、WBCは最大目標達成の「妨げ」になると考えられているために、選手もファンも盛り上がらないのである。
たとえば、今オフ、巨額FA契約を締結することに成功したマーク・テシェラ、C・C・サバシア、A・J・バーネット、デレク・ロウ……といった面々、いずれも例外なくWBC出場を「辞退」した。レギュラーシーズン優勝に貢献することを期待されて高額の給料をもらうことになったのに、WBCに出て怪我でもしたら、ファンにもオーナーにも申し訳が立たないからである。
また、米国チームに自ら志願して参加したダスティン・ペドロイア、ケビン・ユーキリスにしても、数日休んだらすぐプレーできるような軽微な怪我でさっさとチームを離脱してしまったが、それもこれも、「WBCに出たせいでレギュラーシーズンに悪影響を及ぼす」事態を恐れたからに他ならない。ユーキリスが抜けた後、米国チームは、ついに一塁手の代わりを見つけることができなかったが、この一事を見ても、いかにWBCが選手達から忌避されているかがわかるだろう。
さらに、選手やファンが心配するのは目に見える怪我だけではない。特に投手の場合、1シーズンに投げられるイニング数には上限があると考えられているので、WBCに投手を送り出しているGMにしてみれば、チームが勝ち進んで投球イニング数が増える度に冷や汗を流しているに違いないのである。たとえば、松坂大輔の場合、昨季の投球回数は167 2/3イニングだったが、今回WBCの投球回数は14 2/3イニングに達した。オーナーやGMが「年俸の1割近くの働きを空費された」と思ったとしても不思議はないのである(実際は、それよりも、「なぜWBCで見せた見事なピッチングがレギュラーシーズンでできないのだ?」という思いの方が強いだろうが……)。
当地のファンは自分がGMになったつもりで贔屓チームを応援するということは以前にも書いたが、実際、第一回WBCに出場した投手のレギュラーシーズン(2006年)での成績は、本来の力から予測される数字をはるかに下回ったというデータが出ているだけに、ファンとしても気が気ではない。
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