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A-ロッド、ドーピング「告白」の不評。

李啓充 = 文

text by Kaechoong Lee

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2009/02/24 00:00

 前回に続いて、ヤンキース、アレックス・ロドリゲスのドーピング・スキャンダルについて報告する。

 2月17日、キャンプ地入りしたA-ロッドは、過去のドーピングについて謝罪する記者会見を開き、レンジャースに在籍した3年間(2001-2003年)、シーズン中の6カ月に限って、毎月2回ステロイドを注射したと告白した。今回の告白について、「潔く過去の過ちを認め、謝罪した」と評価する向きもあるものの、「一応謝った形はとっているが、MLBに罰則規定がなかった時代の使用だけ認めるなど、都合の悪い事実は隠しているのではないか?」と疑う向きも多い。

 なぜ疑う向きが多いかというと、ファンもメディアも、「スポーツ選手はドーピングに関しては平気で嘘をつく」例をいやというほど見せつけられてきたからである。ラファエル・パルメイロ(議会でステロイドは使っていないと宣言した直後に検査陽性)、バリー・ボンズ(偽証罪で起訴)、ロジャー・クレメンス(偽証罪容疑の捜査が進行中)、マリオン・ジョーンズ(ドーピングに関する嘘を認め半年間服役、シドニー五輪で獲得したメダル5つも返上)等、例を上げ始めたらそれこそきりがないし、A-ロッドにしても、2007年、ミッチェル報告が発表された直後のインタビュー番組で、「ステロイドを使ったこともなければ、使う必要を感じたこともない」と、白々しい顔で真っ赤な嘘をついた前科があるだけに、ファンにとって、今回の「告白」を言葉通りに信じることはむずかしい。

 A-ロッドの言葉を額面通りに受け取ることができないのは、ファンやメディアだけではない。ヤンキースGMのブライアン・キャッシュマンが、「ヤンキースに来てからは薬を使っていないと思うか?」と聞かれて「わからない」、「昨年史上最高額で10年契約を結んだことを後悔しているか」という問いに「時間を元に戻すことはできない」と答えていることでもわかるように、チーム関係者でさえも、A-ロッドの「2004年以後は潔白」という言葉を信じることができずにいるのである。

 キャッシュマンの場合は、「信じていいかどうか分からない」のレベルでとどまっているが、A-ロッドに対し、カンカンに怒っているのがレンジャースのオーナー、トム・ヒックスである。史上最高額の年俸で雇い入れたというのに、10年契約の4年目には「トレードに出せ」と騒がれた上、その願いをかなえるためにトレード後も年俸の一部を払わされるなど、A-ロッドにはただでさえひどい目に遭わされてきた。その上、「おまえのチームにいた時代はずっとステロイドを使っていた」というのだから、これは怒らない方がおかしい。しかも、ヒックスが直接ステロイドについて聞いた際、A-ロッドは「体に害があると聞いているので、使う気にはなれない」と断言したという。面と向かってしゃあしゃあと嘘をつかれた体験をしているだけに、今回の告白を信じることなどできるはずがないのである。

 A-ロッドは「正直」に告白して謝罪すれば風当たりも弱まると期待したのだろうが、記者会見後も新たな疑惑が次々に浮上、風当たりが弱まる気配はない。たとえば、とかくの評判のあるドミニカ共和国出身のトレーナー(2001年にステロイドをカナダに持ち込もうとした事件の後、MLBから出入り禁止処分を受けている)を、少なくとも2007年まで雇い続けたと報じられているし、「ステロイドはドミニカ共和国で合法的に手に入れた」とする説明とは裏腹にA-ロッドが使用したとされる薬剤(プリモボラン)はドミニカ共和国でも違法薬品であったことが判明するなど、疑惑はますます深まっている。

 ヤンキースが大型不況にもかかわらず、今オフ大盤振る舞いの補強に励んだのは、4月16日、ニュー・ヤンキー・スタジアムのこけら落としに的を絞ってきたからに他ならない。新球場開設の記念すべき年にペナントを獲得せんと、せっかくチームをあげて雰囲気を盛り上げてきたというのに、A-ロッドのドーピング・スキャンダルで「祝賀」気分は吹き飛んでしまった。しかも、今回のドーピング疑惑をあばいたスポーツ・イラストレイテッド誌の記者が書いた「A-ロッド暴露本」の出版は4月14日(本拠地開幕戦の2日前)に予定されている。出版社は、「暴露本にはまだ明かされていない新事実が盛り込まれている」と公言しているだけに、キャッシュマン始めヤンキース関係者は気が気でないだろう。

■関連コラム► ウッズとA・ロッドを結ぶ「点と線」。薬剤スキャンダルの新展開。 (10/03/06)
► A−ロッド、ステロイド汚染の衝撃。 (09/02/10)

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