中日からカブスに移籍した福留孝介が、ブルワーズ相手の開幕戦で、9回裏に同点3点本塁打を放つなど、3打数3安打の、鮮烈デビューを飾った。
初戦でいきなり華々しい活躍をしたのはいいのだが、福留が打席に向かうたびに、スタンドのファンが「偶然だぞ」と書かれた日本語のサインボードを掲げたことに、「ん?」と首を傾げたファンが多かったのではないだろうか? 実は、このサインボード、裏側には「It's Gonna Happen」と英語で書かれていたのだが、どうやら、ボードの作成者、英日自動翻訳ソフトの誤訳を鵜呑みにしたままファンに配ったらしいのである。
ところで、この「It's Gonna Happen」というスローガンがカブス・ファンの間で広く使われるようになったのは、昨季後半戦のことだった。昨季のカブスは、6月1日時点で首位に 7.5ゲーム差の地区4位(借金8)と大きく出遅れたが、快進撃を始めるきっかけとなったのは、6月2日、ルー・ピネラ監督が退場覚悟の「猛抗議」でチームの闘志に火をつけたことだった。カブスは、最終的に地区優勝を飾ったが、スポーツ・イラストレイテッド誌(7月30日号)が、6・7月の快進撃を伝えた際、記事に「It's Gonna Happen」とタイトルをつけたことで、このスローガンが一挙にファンの間に普及したのだった。ちなみに、「It's Gonna Happen」の「It」が「99年ぶりのワールドシリーズ優勝」を意味したのは言うまでもない。
結局カブスはプレーオフ(地区決定戦)で0勝3敗とあえなく敗退したが、ファンは、昨季に続けて、今季も「It's Gonna Happen」のスローガンを使い続けている(もっとも、「It」の意味は、数字が一つ増えて、「100年ぶりのワールドシリーズ優勝」に変わったが…)。
というわけで、今季のカブス・ファンは、1世紀ぶりのワールドシリーズ優勝を祈願してやまないのだが、優勝できるかどうかの鍵を握ると考えられているのが、補強の最大の目玉として日本からFAで獲得した福留なのである。「It」が起こるためには福留に活躍してもらわないと困ると考えたからこそ、福留に対し、特別に日本語で応援しなければならない必要を感じ、誤訳とも知らず、特製応援ボードを作ったのである。
福留は、「偶然だぞ」の応援ボードに笑ってしまったと言うが、もし、珍訳のおかげで肩の力が抜けてリラックスしたことが大活躍につながったのだったとしたら、カブス・ファンにとって、「(とてもよい)偶然だぞ」だったのではないだろうか。
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田沢は0/3回、2安打無失点 オリオールズ戦
2012年8月16日(木)11時31分 - 共同通信
レッドソックスの田沢は15日、ボルティモアで行われたオリオールズ戦に2―3の六回途中に3番手で登板し、1死も取れずに0/3回で2安打無失点だった。勝敗は付かず、防御率は1・66。チームは3―5で敗れ…記事全文
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