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渇水 鳴子ダム貯水率14% 18年ぶりに緊急放流も
 | 水位が下がり、岩肌が見える鳴子ダムの貯水池。左はアーチ型のダム堤体 |
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7月以降の少雨で鳴子ダム(宮城県大崎市)の貯水率が15%を切り、渇水状況は過去10年間で最大級となる事態が生じている。水が必要な水稲の「出穂期」に達した下流の米どころ・大崎平野に供給する農業用水は確保できる見通しだが、予断は許さない状況。まとまった降雨がなければ、18年ぶりとなる非常用放流バルブからの緊急放流が17日に始まる。
国土交通省鳴子ダム管理所によると、同ダムの貯水率は通常96%。現在は水位が11メートル下がり、貯水量は217万立方メートルに低下した。通常レベルだった7月2日より約1300万立方メートル少ない。 今月13日深夜に今期最低の貯水率11%を記録したが雨で持ち直し、14、15両日は14%で推移。このままなら20日前後に、最低水位(貯水率ゼロ)になる見込みだという。 ダムの水は農業、水力発電、河川保全に使用されている。中でも農業のかんがい用水は江合川、鳴瀬川沿いの大崎市東部、美里、涌谷両町の水田約12万ヘクタールに供給。県内のコメ収量約40万トンのうち、この地域が1割に当たる4万トンを占める。 減産防止に向け、鳴子ダム管理所は毎秒16立方メートルの流量が必要な大崎市鳴子温泉地域の末沢観測地点で、毎秒11立方メートルを確保。地元農家も取水制限で尽力している。 水力発電は水位低下で取水できないため、17日に稼働を停止する。非常用放流バルブを開き、下流の池月発電所の稼働や江合川の生態系保全を優先させる。 松川正彦所長は「農家らの協力で出穂期を乗り切れそうだ。品種の違いなどによる取水時期の遅れもある。ダム上流からの水の流入も見て、放流量を調整したい」と話している。
2012年08月16日木曜日
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