負担増の社会:消費税10%へ/1(その1) 支払い超過の20代
毎日新聞 2012年08月14日 東京朝刊
佐藤さんは20歳で国民年金に加入後、学生の保険料免除の特例制度を申請した。しかし勉強会には、「もう、国には頼らない」と、将来の基礎年金給付が減るのを承知で、月約1万5000円の保険料を納めない友人もいる。
◇両親いなければ破綻
「10年後の自分の暮らしが想像できなくて怖い」。中部地方に住む松崎陽子さん(28)=仮名=はつぶやいた。この春に離婚し、実家で60代の父母との3人暮らし。クリーニング工場で週3日ほどアルバイトをしているが、給料は月5万円程度。携帯電話代と通勤のガソリン代でほとんどが消える。正社員の募集は少なく、父の年金と母のパート収入が頼み。両親がいなくなれば生活が破綻する「生活保護予備軍」だ。
政府の12年度予算の生活保護費は2・8兆円で、ここ10年で倍増した。受給世帯数は高齢者や母子、傷病・障害者を除く「その他世帯」が4・5倍に伸長。不正受給も指摘されるが、財務省は「景気低迷で職を失うなどした現役世帯が多い」と見る。景気や雇用の悪化で先行きが見えない20代。社会保障を支える側の若者で、佐藤さんのような反乱が広がったり、生活基盤の弱体化が進んだりすれば、制度の根幹が揺らぐ。
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消費税が増税されれば、生活や経済はどうなるのか。若者や高齢者、不況に苦しむ経営者など、世代や立場ごとに「今とこれから」を検証する。
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