負担増の社会:消費税10%へ/1(その1) 支払い超過の20代
毎日新聞 2012年08月14日 東京朝刊
◇年金の将来、信じない 「年利7%」老後へ運用
「年金保険料は払い損。未納のまま、保険料分を自分で運用した方がまし」。7月下旬、東京都内の大学の講義室で学生が意見を交わした。公的年金を信頼せず、老後の資金を運用で稼ごうという勉強会だ。5月から週2回、10人の学生が金融商品の種類から国の財政問題まで、持ち回りで勉強して説明をする。
仕掛け人は3年生の佐藤拓海(たくみ)さん(22)。専攻は外国語だが、「金融や経済も知っておきたい」と友人を通じて他大学にも呼びかけた。投資ファンドの担当者から運用方針を聞くなど本格的だ。
佐藤さんが中高生のころ、有力政治家らの国民年金未納問題や、過去に払った保険料を確認できない「消えた年金」問題が発覚。「こんなむちゃくちゃな制度に保険料を払うなんてばかばかしい」。高校2年時、お年玉や入学祝いなどをためた約80万円で国内株を購入、大学進学後に両親から借金し運用資金を積み増した。専門書を読み込んで外国債券や株などに分散投資を行い、最近は年7%の利回りも実現。リーマン・ショックで損もしたが、「国任せで年金がもらえないくらいなら、自己責任で損失リスクを負う方が納得できる」。