【東京】15日に終戦記念日を迎えた日本。韓国と中国が過去の戦争についてあらためて日本批判を強める一方、注目された香港の活動家による尖閣諸島上陸を海上保安庁が阻止できなかったという失態が生じるなど、今年の終戦記念日は各方面から問題が噴出する事態となった。
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は同日行った光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)記念式典での演説の中で、植民地時代の日本の行為に言及し、旧日本軍の慰安婦問題を解決するよう同国政府に求めた。
李大統領は慰安婦問題について、「戦時における女性への人権侵害であると同時に、普遍的人権と歴史的正義に反する行為だ」とし、「日本政府には責任ある措置を取るよう求める」と述べた。
同大統領は前日にも日本の天皇陛下の訪韓の条件として謝罪を求め、同国政府から批判を受けたばかりだ。
日本政府関係者は天皇陛下の韓国訪問が計画された事実はないとして、李大統領に対して不快感を示した。
一方の中国では、日本の国会議員らが終戦記念日に靖国神社参拝を行ったことに抗議する声が上がっている。靖国神社には200万人を超える戦没者とともに、A級戦犯となった14人も合祀(ごうし)されている。
今年は野田内閣から松原仁国家公安委員長と羽田雄一郎国土交通相の2人も参拝した。2009年に民主党政権になって以来、閣僚が参拝したのはこれが初めて。
野田佳彦首相は終戦記念日に先がけて自身が靖国参拝を行わないことを明らかにするとともに、閣僚に対しても公式参拝を自粛するよう求めていた。松原氏と羽田氏は参拝後、「私的に参拝した」と語った。
中国政府は日本の閣僚の靖国参拝について、日本に対して歴史を直視するよう求める談話を発表するなど、これまでの見解を繰り返してやや穏健な形で批判した。
一方、香港を出港した活動団体の漁船は日本の海上保安庁の巡視船10隻に追跡されながらも、日本の管理する尖閣諸島に到着することに成功した。
中国では「釣魚島」、台湾では「釣魚台」と呼ばれている尖閣諸島は中国と台湾もそれぞれ領有権を主張している。
香港の団体「保釣(尖閣防衛)行動委員会」のChan Yu-nam副会長は、「中国の主権を世界に示すという目的を成功裏に果たした。成果は予想を超えるものであり、予想以上に早く達成することができた」と述べた。
抗議活動家による尖閣諸島への上陸は2004年以来のことだ。12日に香港をたった抗議船には14人が乗船していた。このうちの活動家ら7人は尖閣諸島の魚釣島に上陸後、中国と台湾の旗を立てた。上陸までの航海は、台風の接近で計画が危ぶまれたり、大しけの海で食料を失ったりしたほか、台湾と中国本土からの補強船派遣が実現しなかったこともあり、困難の連続だった。
日本の海上保安庁関係者によると、活動家7人は同庁や地元警察から取り調べを受けたという。警察はその後、このうち5人を逮捕し、沖縄の那覇市に移送したと発表した。残る2人については、抗議船に戻ったことが同庁によって明らかにされた。
藤村修官房長官は「今回、再三にわたる警告等にもかかわらず、魚釣島へ上陸したということ自体が、誠に遺憾である」と語った。
今回の尖閣上陸問題の数日前には、韓国の李大統領が竹島を訪問した。韓国では独島と呼ばれ、日韓両国が領有権を主張している。
日本政府は李大統領の竹島訪問に抗議するため、駐韓大使を一時帰国させたほか、来週に予定されていた日韓財務相会合をキャンセル。さらに、国際司法裁判所に提訴する可能性を示唆した。